「正解」を競わない
「私は、中学受験からストレートに大学まで進学していける道があの子にとって良いと思うんだけど、夫に話しても“好きにさせてあげるのが良い”しか返ってこない。そんな適当なやり方じゃ、あの子は幸せになれないのに!」
子どもの教育について、夫婦で話し合うのは良いことです。それぞれ「こう育って欲しい」という思いがあれば、なるべくそれに沿う生き方を提案することが子どものためになると思いますよね。ですが、意見が食い違うと、つい相手のやり方を否定してしまったり、理解してもらえないことに悩んだりします。
大切なのは、「どちらが正しいか」ではありません。大切な子どものことを考えての意見です。片方を受け入れて残りを否定するような方針だと、ふたりの間にしこりが残り、協力していくことが難しくなります。
「正解」を競うのではなく、ふたりの意見の「良いとこどり」をして考えるのが、夫婦が団結して子どもを育てていく姿勢には重要なこと。そのために、自分の意見の「根拠」をしっかり見せて話し合う機会を持ちましょう。
「根拠」を示して話し合う
お互いが望む方針について、まずは根拠を元に話し合ってみましょう。あなたが中学受験を考えているなら、それがどう子どもにとって良いのか、自分の理想通りに進んだ例を資料として用意したり学校のパンフレットを夫に見せることで、説得力を持たせることができます。「だからこうしたい」と思う理由がしっかり伝われば、夫も対応しやすくなるでしょう。
特に男性は、「結末の見える話」を求めます。「ここだとストレートに大学まで進学できるから」とただ口で言うだけでは、「それが子どもにとってどう良いのかわからない」と思い、話が進みません。資料など目に見えるものがあると、妻の言い分の「裏付け」を自分でも確認することができますね。
また、妻からしっかりした提案を受けると、夫の方もどうして「好きにさせてあげる方が良い」のかを妻に説明する必要が出てきます。そう思う理由を自分でももう一度考えるきっかけになり、やみくもに妻の意見を否定することもないでしょう。
根拠を用意することは、こちらの本気度をわかってもらうためにも重要です。「ここまで考えているのか」と思えば、夫も向き合わざるをえません。「面倒くさい」と話し合いから逃げようとするのを防げます。
話し合うときは一方的にならない
教育方針について身を入れて話し合うためには、夫にもそれなりの心づもりをしておいて欲しいもの。会社から帰宅してすぐに「ねぇ、この間の話だけど」と話題にしても、仕事で疲れている夫にはうんざりされる可能性もあります。子どもが寝たあとや休日ゆっくりできる時間など、夫の気持ちが向き合える時間を考えましょう。
また、自分も仕事をしていると、夫と話す時間を取るのが難しい場合もあります。そんなときは、あらかじめ夫に「子どものことで話をしたいんだけど、この日はどう?」と都合を聞いておき、ふたりで決めましょう。無理に自分の都合で話を始めてしまうと、夫は聞く姿勢を持てません。
いつまでも夫が取り合わない、時間を作ろうとしないときは、「話す気がないなら私の考える通りに進めるから」と宣言してしまうのも手です。子どものためを考えるなら、渋々でも席に着くでしょう。ときには「尻を叩いて」話し合いに向かわせることも必要です。
夫の意見を否定しない
「子どもの好きにさせてあげる方が良い」という夫の意見に耳を傾けるときは、まず最後まで話を聞きましょう。「そんなの無責任じゃない」「子どものためにならない」など頭から否定してしまうと、夫はカチンときて話すことを止めてしまいます。それだけでなく、あなたの意見も受け入れようとはしなくなります。
夫は夫なりの価値観で教育方針を考えています。それは子どもを愛する姿勢から生まれるものであり、元はあなたと同じ気持ちです。自分と違うからといって否定するのではなく、その中でも共感できるもの、受け入れられるものを考え、「子どもにとってどうなのか」という基本を忘れないようにしましょう。
「進学は子どもの意思を尊重して決めたい」というのが夫の気持ちなら、「そのとき子どもが中学受験をしてみたいと言ったら提案しようか」など、こちらも歩み寄る姿勢を見せることで、夫もあなたの気持ちを汲もうと新しい意見を出してくることもあります。
お互いに納得のいく答えがそのとき見つからなくても、しっかり向き合うことで少しずつ方針は決まります。焦らず、子どもの将来を見据えた話し合いを行ってくださいね。
幸せ夫婦コラムニスト ひろた かおり
「自分の人生は自分で決める」がモットー。難病の自分を支えてくれた夫との生活が幸せに続くように、と強く心に誓い日々を生きる。