もはやカテゴリ化? 婚外恋愛・不倫がテーマの大人の小説 5選

もはやカテゴリ化? 婚外恋愛・不倫がテーマの大人の小説 5選

「不倫は文化」という石田純一の名言がありましたが、ここ数年は「不倫」「婚外恋愛」がある種カテゴリ化されている風潮があります。映画やドラマ、小説などのフィクションならいいですが、現実となると失うものが大きいですよね…。そこで、いろいろな立場、視点から不倫の疑似体験ができる小説を5つ紹介。果たして不倫の恋の結末は…。


あなたには帰る家がある/山本文緒 作 (集英社文庫)

どこにでもいる平凡な家庭。昨日まで平和に暮らしていた夫婦に、ちょっとしたことがきっかけとなって不倫の恋がはじまる…。

妻子のために夢をあきらめて転職した夫・秀明と、出産して専業主婦になることを望んでいたにも関わらず結婚生活に苦しむ妻・真弓。そこに無関係だった一組の夫婦が登場し、あることをきっかけに不倫の恋が加速していきます。あがいても止められないその恋の結末は果たして…。

結婚、出産を経験したことがある人ならば必ず共感できるであろうリアルなセリフが次々と登場し、物語にどんどん引き込まれていきます。「これって、わたしのこと?」なんて思ってしまうようなセリフもあり、思わず反省してしまったり…。まさに夫婦の「あるある」が満載です。なぜ家庭を持っていながら不倫を止められないのか、その理由が本書には書いてあるような気がします。

この作品は1994年に刊行されたものにも関わらず、今読んでも「そうそう、あるある」と共感させられる個所が多いということは、何年たっても夫婦や家庭の問題は変わらないということなのかもしれません。不倫を経験したことがなくても、自身の家庭を省みること必至の一冊です。

あなたには帰る家がある (集英社文庫)

葡萄物語/林真理子 作 (集英社文庫)

「不倫」と聞くとドロドロした愛憎劇というイメージを持つ人が多いと思いますが、本書は純粋な恋する気持ちが描かれた婚外恋愛小説です。ラストはホロリとしたり、「結婚」というものの意味を突き付けられたりと、寄せては返す波のように気持ちがあちこちに漂いながらページをめくる手が止まらなくなります。

ワイン工場とブドウ園を経営する洋一と映子。結婚生活6年目にして子供ができないことへの負い目から、すれ違っていく二人。やがて、互いに異なる人へ想いを寄せ始めるのだが…。

美しい山梨の情景描写と恋するピュアな気持ちがリンクして、小説でありながら絵画を見ているような不思議な感覚に陥ります。東京郊外に住む平凡な主婦の心理描写も細かく表現され、その筆力は林真理子さんならでは。思わず「おお~っ」と唸り声が出てしまうかも。

読後、「もう一度こんな恋がしたい…」と思うくらい、命がけの純愛に胸キュンすること間違いなしです。

葡萄物語 (集英社文庫)

情事/森瑶子 作 (集英社文庫)

まさにアラフォーだからこそわかる不倫小説といえば「情事」といえるかもしれません。そのタイトルと表紙に描かれた裸婦が表すとおり、女性の「性」を描いた不倫小説です。

「夏が、終わろうとしていた」との一文で始まる本書は、若さを失いつつあることに対する不安を持つ既婚のアラフォー女性が主人公。老いることへの不安から性愛への欲望と飢えが強まっていく彼女は、次々と不倫をします。ところがついに心から愛する人と出会ってしまい、夫がいることを隠して付き合うことに。苦しい恋に悩む彼女が最後に示した行動とは…。

読むほどに苦しくせつない気持ちに包まれ、読後はその余韻から抜け出せないほど。結婚しているいないにかかわらず、アラフォー女性なら一度は若さを失うことへの不安や葛藤を感じたことがあるのではないでしょうか。それだけに感情移入してしまうかもしれません。

二人が抱える欲望を、言葉ではなく視線の動きや仕草、表情で細かく描写されているので、まるで映画のワンシーンを観ているかのように映像が頭に浮かびます。一度読んだら「心を掴んで離さない一冊」といえそうです。

情事 (集英社文庫 143-A)

私が語りはじめた彼は/三浦しおん 作 (新潮文庫)

不倫小説といえども、いわゆる男女の恋愛を描いたものではなく、違った側面から不倫を描いたのが本書です。不倫した本人の気持ちは一切描かずに、不倫によって様々な影響を受けた家族や周りの人たちの気持ちを描くという構成です。

複数の女性と関係をもってきた大学教授“村川”。その村川を取り巻く弟子、妻、浮気相手の夫、実の息子、義理の娘などが各章ごとに登場し、村川について語ります。ところが、当の“村川教授”は最後まで出てきません。不倫に巻き込まれ、傷ついた人たちによって不倫の実態を炙り出すという手法が斬新です。

立場の違う人物が次々と登場するので、読めば必ず誰かしらに共感できる要素があります。それだけに、引き込まれつつも不倫について考えさせられるかも。また、読む人の立場によって感想が大きく変わりそうなところも面白い一冊です。

私が語りはじめた彼は (新潮文庫)

東京タワー/江國香織 作 (新潮文庫)

かつて黒木瞳さんと岡田准一さんによって映画化されて話題になった「東京タワー」。東京タワーが見守る街で、夫がいる年上の女性二人と大学生の少年二人が繰り広げる美しくもせつない恋愛小説です。性格、気質の異なる二組の対極的な恋人たちの恋愛模様が少年たちの目線で描かれています。

既婚者であるとか年の差があるといった壁など無いかのように、ただひたすら純粋に愛し合う二人。読むほどに不倫こそが美しい恋であるかのように錯覚してしまうほどです。さすがは江國さん、不倫の恋をこんなにもサラッと美しく描ける人はなかなかいません。

本書には「恋はするものじゃなく、おちるもの」「一緒に暮らすことと一緒に生きることは違う」という一文があるのですが、不倫の善悪を考える以前に、人は恋をしようと思わなくても恋におちてしまうことがある…そんな人間の性を改めて思い知らされます。不倫といえども恋は恋だと思ったあなたは、江國マジックにかかってしまったのかもしれません!

東京タワー (新潮文庫)



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この記事のライター

ami

2児の母。食育インストラクターの資格取得。専業主婦から久しぶりのお仕事再開。40代も輝けるように何事も全力投球中。

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