
忘れられたくない夫
子どもが保育園のおゆうぎ大会でがんばったから褒めていたら、「俺も今日取引をまとめてさ~」と張り合ってくる。「ちゃんとひとりで準備することができたね」と子どもに話しかけていると、「俺も車の掃除してきたよ!」といちいち報告してくる。こんな夫、あなたのところにはいませんか?
「もう、だからどうしたのよ?」と適当に返してしまうと怒りだしたり、面倒くさいなぁと思いますよね。
こんな夫は、単純に家庭の中で忘れられたくないという焦りを抱えています。妻が子どものことばかり見ているようで、自分のがんばりが無視されていると感じるのですね。妻からすれば、いい大人なんだからしっかりしてよと思いますが、ビジネスでは周りに認められることで成長を実感する男性は、家庭でもほめられることをした自分を見せて、存在感を得ようとします。
妻に軽くあしらわれてしまうと、プライドが傷つくだけでなく、自分は子ども以下なのかとヘソを曲げてしまうのもこんな男性の特徴です。妻は、親だからしっかり子どもを褒めようとしているのに、それより自分のことが優先になってしまうのは、ひとえに忘れられたくないからです。
ひとこと、「すごいね」「がんばったんだね」と妻に言ってもらえれば、夫はそれだけで満足します。家庭の中でしっかり機能している自分を実感するためには、家族からの感謝が欠かせないのが男性なのですね。
妻や家庭が好きだから子どもと張り合う
子どもと張り合うのは、裏を返せば子どもをほめている妻の姿に喜びや親しみを感じているということでもあります。存在を認めているから、自分にも声をかけて欲しいと思うのですよね。
妻を愛していなければ、どれだけ子どもだけに構っていようとも不満は感じません。むしろ、愛情を向けられずに済んで良かったと思う男性もいます。それよりも、自分を認めろとアピールしてくる夫のほうが、鬱陶しくても家庭にとっては良い存在です。
家庭を放置している父親の姿は子どもにとっても愛情を感じにくく、母親にだけ心を開くようになります。張り合ってくる夫をしっかり受け止めることができれば、子どもの目にもコミュニケーションを取れている両親は信頼できる存在として映るので、家族にとってプラスになると考えましょう。
今さら夫をほめるなんて抵抗がある、という女性もいるかもしれません。ですが、そんな「構ってちゃん」な夫ほど、上手に育てれば育児や家事に積極的に手を出すようになります。
どうせならしっかり認めてあげて、良き夫・良きパパになってもらいましょう!
夫の言葉に関心を持つ
例えば、「俺も今日取引をまとめてさ~」と夫が子どもとの間に割り込んできたとき。
夫のほうに顔を向けて、「そうなんだ、すごいね。どうだったの?」と聞いてあげましょう。自分の言葉が届いたことを知れば、夫は嬉しくなります。夫の本当の願いは、取引をまとめたことをほめてもらうのではなく、「自分の話に関心を持ってもらうこと」です。妻がきちんと向き合ってくれる姿勢こそ、夫が欲しいものなのですね。
こちらも向かず手も止めず、「ふーん」だけで済まされると、そこで会話は終わります。話を聞いてもらえないのは、誰だって悲しいですよね。夫からすれば二度と話しかけるもんか、となってしまいます。
面倒でも、いちいち夫を振り返ることで、話を聞く意思を見せましょう。妻が自分にも目を向けてくれることが実感できれば、夫もしつこく食い下がることはしなくなります。
子どもの前でほめる
夫をほめる時は、子どもに見せる機会を作りましょう。自分以外の人間を受け止める母親の姿から、子どもは父親を尊敬するようになります。そうなれば夫と子どももコミュニケーションを取りやすくなり、夫自身が育児にもやる気を持ちます。
子どもの前で夫をほめることで、同じように子どもが夫に「すごいね!」と声をかけることがあります。我が子に認められて嬉しくない父親はいません。ポジティブな言葉を使うことで、どんどん家族の中に笑顔を増やしましょう。
居心地の良い時間を持てれば、妻が家事をしている間に子どもと遊んでくれたり、妻が子どもの用事で忙しいときに家事をしてくれたり、夫は家族のために動くことを嫌がりません。妻に感謝されることで、自分も妻に感謝する気持ちを持てるのは、家族で気持ちよく過ごせることの幸せを実感できるからです。
スムーズな家事や子育てには、夫婦の協力が欠かせません。「構ってちゃん」な夫はしっかり気持ちを満たしてあげることで、家庭を大切にする頼れる男になるのだと心得てくださいね。
幸せ夫婦コラムニスト ひろた かおり
「自分の人生は自分で決める」がモットー。難病の自分を支えてくれた夫との生活が幸せに続くように、と強く心に誓い日々を生きる。