
「当然」の感覚が増えていくのが夫婦
新婚だった頃、まだ交際中だった頃。「好き」も「愛してる」も「ありがとう」も頻繁に言っていたのに、結婚して何年も経った今は、お互いにめっきり口にしなくなった。こんな夫婦は多いと思います。
決して言いたくないわけじゃなくて、わざわざ相手に伝えるのが面倒に感じるのが本音ではないでしょうか。結婚生活の中で自分がすることも、夫がすることもいつしか「当たり前」になる。その度に反応することに疲れてしまい、いつしか「言わなくてもわかるだろう」に変わっていく。それは、長い時間を過ごしてきたからこそ起こることです。
毎日夫にお弁当を作るのも、逆に夫がお風呂を掃除してくれるのも「当然」。夫から感謝の言葉を言われたことはないけど、どこもそんなもんじゃないの? と思いますよね。
ですが、あなた自身の気持ちはどうでしょうか。本当は、毎朝でなくても良いからひとこと夫に「いつもお弁当ありがとう」と言われたい。そうすれば、もっと寝ていたかったことなんてどうでも良くなるのに。なんて思っていませんか?
また夫のほうも、「疲れているのにお風呂掃除ありがとう」と言ってもらえたら、これくらいの家事は何でもないと思えるのに…。と、感じているかもしれません。
「当然」が増えても、そのことに感謝する気持ちは別です。行動を受け止めてもらえた実感がないと、前向きな気持ちで暮らしていくのは難しくなります。
最低限言って欲しいのは「ありがとう」の言葉
全国に店舗を展開するブライダルジュエリー専門店「銀座ダイヤモンドシライシ」が男女500名に対して今年、パートナーに最低限「これだけは言ってほしい!」という言葉はなんですか? という調査を行いました。第1位は、男女とも同じだったのですが、なんだと思いますか?
最低限「これだけは言ってほしい!」言葉
・第1位 「ありがとう」(女性:80.4%、男性:66.8%)
・第2位 「大好き」(女性:42.8%、男性:36.8%)
・第3位 「お疲れ様」(女性:38.4%、男性:26.8%)
出典:「銀座ダイヤモンドシライシ『新生活&プロポーズに関する意識調査』」PR TIMES
実に8割もの女性が、パートナーには「ありがとう」と言って欲しいと思っています。普段から大袈裟な愛情表現を苦手とする男性は多く、付き合いが長くなればなるほど感謝の気持ちも口にすることを避けるようになりますが、だからこそ言われないことに不満を感じる女性は多いのですね。
一方で、男性自身も内心ではパートナーから感謝されたがっているのがわかります。パートナーに「ありがとう」と言われることは、男らしさを刺激する大切なきっかけです。一番身近な女性から言われることこそ、男性の自信を育てるといえます。
自分は言わないくせに、と思いますが、それとこれは別、と考えるのが男性。自分が言いにくい言葉だからこそ、相手からは欲しいと思うのかもしれませんね。
2位3位も男女同じ結果になっています。2位の「大好き」は、やはりどんなときでも愛情表現が欲しいとお互いに思っていることがわかります。「大好き」は「ありがとう」とともに時間が経つとあえて口にするのが照れくさくなる言葉ですが、本当は自分も言いたいのが本音ではないでしょうか。
3位の「お疲れ様」は、関係が落ち着いてくるとあえて言うことの必然性を見失いやすい言葉。LINEのスタンプでは簡単に送れるのに、面と向かって声をかけるのは何だか恥ずかしさが先に立つという夫婦もいるのではないでしょうか? でも、身近な人に労って欲しいと思うのは当然のことですよね。
どの言葉も、相手を思いやるものです。パートナーの存在を認め、自分のことも認めて欲しいからこそ聞きたいという気持ちがランキングからわかります。長く一緒にいれば、疎かになりがちなのがパートナーへの敬意。「言わなくてもわかるだろう」ではなく、あえて口にすることでより絆が深まると心得たいですね。
「ありがとう」は先に言った者勝ち!
夫が欲しがっているのは「ありがとう」の言葉だということはわかったけど、私だって言われたいし、こちらばかりが感謝しないといけないの? と思うかもしれません。ですが、実際は気持ちは先に伝えることで相手からも言葉を引き出すきっかけになります。
先に「ありがとう」と言われたら、夫は嬉しくなるでしょう。そのとき初めて、あえて口にすることの大切さに気が付きます。妻から感謝の気持ちを伝え続けると、夫も自然と「ありがとう」と言うことの気恥ずかしさが消えていきます。
ふたりの間で感謝を伝える言葉が違和感なく流れるのが、一番幸せなこと。それには、「ありがとう」は先に言った者勝ちだと思いましょう。「大好き」も「お疲れ様」も、口にするだけふたりの中に愛情が蓄積されます。
お互いに敬意を忘れないふたりでいるために、思いは伝えることを習慣にしたいですね。
幸せ夫婦コラムニスト ひろた かおり
「自分の人生は自分で決める」がモットー。難病の自分を支えてくれた夫との生活が幸せに続くように、と強く心に誓い日々を生きる。