離婚「子どもの親権」はどうなる?【弁護士が教えるかしこい離婚相談所#05】 | 大人のワタシを楽しむメディア
離婚「子どもの親権」はどうなる?【弁護士が教えるかしこい離婚相談所#05】

離婚「子どもの親権」はどうなる?【弁護士が教えるかしこい離婚相談所#05】

こんにちは。弁護士の中川みち子です。離婚を考える時に一番問題になるのは子どものことではないでしょうか?一人で育てられるかな? 子どもの気持ちを傷つけないかな? など、心配は尽きませんね。そこで今回は子どもがいる夫婦の離婚で知っておくべきことをお話しします。


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そもそも親権ってなに?

未成年の子どもは両親が共同で親権を持っています。「親権」とは、子どもを監護・教育し、子の財産を管理することです。離婚する場合はどちらが親権者となるかを決めなければなりません。

話合いで離婚する場合は、離婚届に親権者を記入することで決まります。
話合いで親権者が決まらない場合は、調停で話合いをしましょう。調停でも決まらない場合は、裁判所が判断することになります。

裁判所が親権者を決める基準

「親権を争っても母親には負ける」って聞いたことありませんか? 母親が子どもの親権者と判断される場合が多いのは事実です。特に子どもが乳幼児の場合は母親が優先されます。しかし母親だからと安心してはいけません。

第一に子どもの意思の尊重、第二に養育実績、第三に兄弟姉妹と分離されないか、第四にもう一方の親との面会交流が許容されるか、などの基準で、親権者としてふさわしいかどうか判断されます。離婚後に子どもと会えないことを理由に父親が親権者変更を申立てた裁判で、母親に年100日の面会を認めると主張した父親に親権が変更された事例があります。

その後の裁判で今まで子どもを育ててきた母親に親権を認めたので親権者変更とはなりませんでしたが、親権者ではない親に面会を認める「許容性」が重視されると話題になりました。この判決以降、親権を争う母親が子どもと父親の面会をさせていない場合、面会を一定程度認める態度を示すことをアドバイスするようになってきています。

父親?母親? 子どもの意思を聞く

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裁判所が親権者を決める場合、子どもが15歳以上の場合は子どもの意見を聞くことになります。また、15歳未満であっても、自分の意思をはっきりと説明できる年齢、だいたい10歳から12歳になれば意見を聞くことが多いです。

ただ、子どもは親が思っている以上に親に気を使います。母親のそばでは父親と暮らしたいなんて決して言いません。子どもの本音を聞くのは難しいのが現実です。私が経験した事案では、10歳の男の子でしたが、父親が大好きで別居中もよく父親と二人で会っていました。本心は、父親とも母親とも一緒に暮らしたいのだと思いますが、それを言うと母親が辛い思いをするので口にしませんでした。そして、調査官の聞き取りに対しては、悩んで悩んで最後に、「裁判官に決めて欲しい」と言いました。

どちらかになんて決められない・・・ですよね。子どもの意思は尊重されるべきですが、子どもに判断させるのは酷ですし、物や条件に流されることもあります。子どもの取り合いにならないような解決をしたいですね。

「親権」と「監護権」とは?

監護権とは、親権の中に含まれる子どもと共に生活をして監護・教育を行う権利や義務です。通常は親権者を決めれば監護も親権者が行うことになります。

しかし、どちらも親権を譲らない場合で、たとえば一緒に暮らして面倒を看るのは母親でいいが父親が親権は持っておきたいという場合、妥協案として父親を親権者、母親を監護権者と決めることがあります。

監護権だけを持つ場合には、財産管理の権利がないことに注意が必要です。たとえば、子どもが交通事故に遭って加害者に損害賠償請求する場合、親権である父親が子どもの代理人として請求することになります。

本来は、子どもと同居して監護も行う親が親権を持つ方がよいと思いますが、どうしても親権の争いが収まらない場合は親権と監護権を分けるのも一つの方法です。

子どもの「養育費」はどうなるの?

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監護養育しない親は、子どもを育てている親に子どもの養育費を支払う義務があります。

親権者じゃないから、離婚したから、子どもと会っていないから・・・と、養育費を支払わない理由をいろいろと述べる人がいますが、どれも払わない理由になりません。

離婚によって妻とは縁が切れますが、子どもにとって親であることに変わりはありません。妻の収入が少ない場合、「子どもを育てられるかしら?」と不安に思う方が多いですが、自分の収入だけではなく、父親が払うべき養育費をもらって子どもを育てればいいと考えましょう。

金額

養育費の金額は、父親の収入と母親の収入、扶養する人数や子どもの年齢などで決まります。たとえば、父親の給与収入が700万円、母親の給与収入が200万円、10歳と12歳の子どもを母親が養育する場合の養育費は、二人分で月額8万円から10万円です。母親の手取り収入が14万円で養育費を9万円もらえば毎月の生活費は23万円。何とか生活できるという感じでしょうか。

これは、「養育費算定表」という基準に基づいています。家庭裁判所ではこの基準が使われることが多いです。正直、長年使われていますが、昔と生活状況は変化しているのですから、算定表の養育費は決して充分な金額ではありません。

養育費額に含まれるもの

養育費には、子どもの生活に必要な費用が含まれるほか、高校卒業程度までの教育費も含まれていると言われています。しかし、学校が私立であったり、習い事の費用が高額、あるいは大学に進学したい場合は、これらを考慮して養育費額を決める必要があります。

また、養育費は原則として成人するまで受け取る権利があります。とすると、現在検討されている成人年齢の18歳への引き下げが実施されると18歳までしか養育費がもらえないことも考えられます。

そのため、養育費について決める場合は「20歳になるまで」とか、大学進学を想定する場合は「22歳の誕生日の属する日の次に到来する3月末まで」など、いつまで養育費をもらえるかについてはっきりさせておく必要があります。

養育費の取り決めは公正証書か調停調書で

離婚の際、養育費はいくらと決めても、途中で支払われなくなることも多々あります。
父親の収入が減少したり、子どもが大きくなるに連れて面会回数が減り養育費を支払う意欲が薄れるなどの理由が考えられます。

その場合、口頭で取り決めをしていると改めて養育費分担の調停を申立てなければいけなくなります。そのため、協議離婚の場合の養育費の取り決めは公正証書で行いましょう。公正証書で約束しておくと、給与などの差押ができるという強力な力があります。作成するには弁護士か、公証役場に相談しましょう。

調停で離婚が成立した場合は、調停調書が作成され、これによっても差押などが可能です。もちろん、裁判離婚の場合の判決も同様です。万が一、支払が滞ったときのために、必ず公正証書が調停調書などで養育費を決めておきましょう。

子どもに会いたい、親に会いたい「面会交流」について

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面会交流とは、子に会いたい親の権利であり、親に会いたい子の権利でもあります。母親と父親が離婚となり、顔を見るのも話をするのも嫌だ、中には何処に住んでいるかも知られたくないという場合があります。DV案件では関係を絶つ場合もありますが、原則としては子どもを愛してくれる親族関係は断絶しない方がよいでしょう。

面会交流の現実

面会交流の回数は月に1回というのがスタンダードです。中には月に2回とか、毎月第1日曜の午前10時に○○駅の改札で会うなど細かく決めることもあります。
しかし子どもは成長します。小学生の時は月に2回でも良かったけれど中学生になるとクラブ活動が忙しく月に2回は無理になることもあります。無理のない範囲で、父親と母親が協議しながら決めて行くのが良いでしょう。

子どもが大きくなると、父親との面会を嫌がることもあります。父親は毎日子どもと接しているわけではないので、たまに会うと何をしたらよいか分からず、子どもも楽しめないからです。そんなときは、父親に対して子どもが興味を持っていることを伝えたりといった工夫も大切です。父親は、子どもが好きな道に進み幸せになるためのサポーターだと考えましょう。

不幸な結果を招いた事件も

子どもにも親にも大切な面会交流ですが、面会交流の際に父親が子どもを殺害し、自らも自殺する不幸な事件が何件か起きています。

子どもが幼い間は同じ空間に母親がいることを条件とするなどの工夫も必要です。有料で面会交流をサポートする第三者機関も増えてきているので、利用する方法もあります。

子どもがいると離婚はよりシビアで争いが激しくなる傾向があります。それだけに、離婚の段階でお金のことや、互いに子どもにどういう関わり方をするかをきっちりと話し合っておくことが賢い離婚につながりますよ。

弁護士 中川 みち子



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この記事のライター

平成17年10月に大阪弁護士会に登録する。平成21年8月にきらり法律事務所を立ち上げ現在に至る。

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