お願い事を気持ちよく引き受けてもらう頼み方【“心のマナー”メソッド#04】

お願い事を気持ちよく引き受けてもらう頼み方【“心のマナー”メソッド#04】

お願い事をするのが苦手…という人は多いと思います。特に相手の気持ちを必要以上に考えてしまう日本人女性ならなお更ではないでしょうか。しかし、そのせいで自分が大変な思いをしている、という場合も多いと思います。そこで、国際基準マナー講師 大網理紗さんに相手に不快な思いをさせることなくお願い事をする方法を教えていただきます。


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大人の女性に必要なのは“寛容さ”

世界中をまわったジャーナリストの兼高かおるさんの言葉で、いつも心に留めているものが「世界で通用する美は“looks(見た目)”ではなく“behavior(振る舞いによって醸し出されるその人の雰囲気)”」という言葉です。

大人の女性にこそ美しいbehaviorが必要で、それには“寛容さ”がカギではないかと思います。誰でも両手いっぱいに荷物を抱えていたら、前がよく見えず周りにぶつかってしまうかもしれない。そんな状況で寛容さを保つのは無理です。

つい遠慮したり頑張りすぎてしまいますが、上手に荷物の量を調整して、涼しい顔でサッと荷物を運べるようになるためにも、周りに運ぶのを手伝ってもらったり、運び方を考える必要があるのです。

現代では年上・年下に関係ないニュートラルな考え方が大切

お願い事をするときのポイントは「大胆に・真剣に・丁寧に」。これは仕事をクライアントや部下にお願いするときでも、家族に対してちょっとしたお願いをするときでも、同じ姿勢が必要だと感じます。20代後半の時たまたま運良く私の案が採用され、40代の部下を持つことになりました。まだ上司としての自分の仕事にも慣れず、自分のことで精一杯だった私は毎日アタフタしていました。「たいして仕事もできないのに生意気な上司と思われたらどうしよう」と、うまく仕事を振れず部下に頼むべき雑用まで自分でしてしまい、残業三昧になり、倒れかけたことがありました。

年上の部下のほうがよほどしっかりと落ち着いていたので、もっと素直に頼ればよかったのです。学生時代、私は剣道部だったこともあり上下関係の概念がしっかりありました。それはそれで、社会にでてそれなりに役立ったように思いますが、でも現代では、年上だから年下だから…というのではなく、もっとニュートラルな考え方が必要で、それもまたコミュニケーション能力のひとつだと感じています。

「立場に関係なく、どちらからでも一歩自分から歩み寄って、思いきってお願いしてみよう!」と思える勇気。30代になって、お願い事をするのが下手だった私の苦手意識を吹き飛ばしてくれた一言がありました。

それは面倒なことをお願いしてしまったと気にしていた私に、頼んだ女性から「頼りにしてもらえてとても嬉しかったです」と書かれたメールです。こんな一言が返ってくると、「彼女にお願いしてよかった!」と思ってしまいます。「お願い事の引き受け方」というのもあるのだなと勉強になりました。

お願い事をした後の見守り方が大切

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年上だから年下だから…は関係なくなってきたとはいえ、まだまだ慣れない部下や後輩にお願い事をするときの不安はあります。私は子どもが生まれたとき、トリニティリング(3つのリングが重なっている指輪)を購入しました。

嬉しかったその気持ちを忘れないように、家族を大切に思う気持ちをあたりまえにせず、リングを見る度に思い出すことができるようにと思い購入したのですが、その際、お店の方からこんなことを言われました。

「忙しい時などによく見ずに、向きが違ったまま無理にはめると、指から抜けなくなったり、指輪同士が擦れて傷がついたりします。忙しい時でも必ず3つのリングが同じ方向を向いていることを確認してはめるようにしてください」

お願い事をするときにも同じことがいえると思います。忙しいとつい、「わかっているだろう」「大丈夫だろう」「自分と同じ方向を向いてくれているだろう」と、よく確認せずに思ってしまいます。だからこそ“見ること”が大切なのです。

見方には「see」「look」「watch」があります。

「see」は自然と視界に入っている状態。「look」は視線を向けて見ている状態。「watch」は注意して観察している状態。

お願い事をしたら終わりではなく、そこからが新しいスタートです。この3種類の見方のうち、「どの方法でその人を見守ったらよいのかな?」という自分の目配りの方法を決めておくとよいのではないかと思います。お願い事をした後、どの程度どのような頻度でその人を見守ったらよいのか、それを考えて相手と接してみましょう。

お願いをするときに大切な2つのコト

今後も付き合っていきたい、そう思う相手であればこそ、伝えないといけないことが必ず出てきますよね。 伝え方で大切なことは2つ。

1つは「言葉のボーダーライン」を持つこと。気のおけない友人や家族などだとつい私たちは言葉のボーダーラインを忘れてしまい、相手が自分の思ったとおりに行動してくれないと、気持ちのまま言葉にしてしまったりしますが、そういう相手にこそ「言葉のボーダーライン」を持つことが大切だと感じます。

批判と非難、意見と愚痴、納得と説得etc…。似ているけれど異なる言葉の微妙な差を見逃さない。批判は異なる見解を伝えることで、非難には責める要素が含まれる。意見は冷静に分析された考えですが、愚痴はネガティブな内容です。納得には理解があり、説得には相手を丸め込むようなニュアンスが含まれるように思います。

「私の伝え方は非難になっていないか?」「愚痴ではなく意見になっているか?」など、確認しながら伝えることが大事です。

2つめは、どんな場合でも最後の締めの言葉は「感謝の言葉」にすること。以前、日本テレビの番組の取材で、お母さんからの電話をなかなか切れないと悩む大学生の女性に「感謝の言葉で締めること」とアドバイスさせていただきました。それを彼女が実践したところ、お母さんから「今日の電話は嬉しい。涙が出るほど嬉しかった」という一言が聞かれ、彼女の嬉しそうな笑顔に、私もディレクターさんも本当に感動しました。たったひとことですけれど、最後の言葉の余韻は大きい。

ですからどんな場合でも、最後の締めの言葉は「感謝の言葉」で。期待しているから、これからも一緒にやっていきたいから、というあたたかい気持ちが伝わるひとことを添えることを忘れずに。「次にまた引き受けてあげよう!」と思ってもらえるお願いの仕方をできるのが、本物の大人の女性といえると思います。

リサ・コミュニケーションズ代表 大網理紗



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この記事のライター

話し方&国際基準マナーのスクールRiSA Communicationsを設立。国際基準マナー講師。

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