離婚後の生活が成り立たないなら「今はまだ無理」
離婚をすべきか、我慢すべきか。
この大問題を前に、ただそれだけを考え続けて何年も経過してしまう妻がいます。これは決して少数例ではありません。
もし、今のあなたが専業主婦やパート等で、この問題が頭をよぎっているのならば、まずは、離婚をすべきかどうかの問題は、悩みの優先順位を1番目から2番目に落とすくらいの気持ちにしましょう。まずは“離婚をしても生活が成り立つように就職や貯金をする”準備を進めましょう。
実際に40代をただ離婚すべきかどうか悩むだけで何も準備せずに、離婚を決断したのが50代だった。というケースでありがちなのが、ご自身が専業主婦やパートで実家に戻れない、財産分与も大して見込めない、というケースです。
どう考えても離婚後の生活が成り立たない場合は、「我慢した方がマシかも?」となってしまうのですね。
離婚をしても自分でなんとか生活できる正社員や、パートや専業主婦の方でも実家のサポートが得られる場合はあまり神経質にならなくても良いですが、それらにあてはまらないのであれば、“離婚の決断をする”のと“離婚後の生活が成り立たつかどうか”は別問題だということをしっかりと押さえておいてください。
まだまだ40代は先の人生長いです。たとえ我慢しようと決意しても、嫌なこと、つらい気持ちはどんどん溜まっていくのです。
溜まりにたまってどうにもならなくなったときが50代だった時、離婚の選択のするのは非常に厳しくなる場合があることを覚えておいてください。
真の理由を把握せずに離婚の決断をすると損をする⁉
「配偶者に自分の不倫を隠したまま、離婚を進めたい」
そんな相談が寄せられます。
浮気している夫は「好きな人ができたから離婚してくれ」と妻に言うでしょうか?
言う夫もいますが、隠したまま「性格不一致、価値観の相違」を挙げて、妻に離婚の要求をする夫は非常に多いのです。
夫が離婚要求し、妻の至らない点をあげつらい、妻もそういわれても仕方ないかもと自分で思いこみ、「もう修復は無理そうだ」と思い離婚を決意したとします。
しかしそこでちょっと待っていただきたいのです。
この夫の主張をそのまま鵜呑みにしていては損してしまいます。夫は隠れて浮気しているのですから。
専門家として相談者の話を聞いていると、妻が夫の浮気を把握していなくても、どうにも浮気の傾向が感じられるケースがあります。ですので、夫からの離婚の要求を受け入れる形で離婚を決断する場合は本当に要注意です。
■離婚後に浮気が発覚するケースも
離婚後の妻から実際に次のような相談が寄せられたことがあります。
離婚後の面会交流のときに、夫にはもう結婚を約束している相手がおり、さらにその女性は妊娠していたというのです。離婚理由が浮気だった可能性があると思うと本当にショックだというのです。
浮気だったならば、離婚前に証拠を押さえておくべきでした。妊娠の時期をあれこれ推測しながら、今から専門家に相談するかどうか検討するより、本当は、最初から相談しておくべきでした。
あなたが思っている離婚原因は本当のことなのか?
隠れた浮気を見抜けないでいる妻は本当に多いのです。あなたは大丈夫ですか?
離婚する前の今段階において、浮気の証拠をとることができれば、貴女も少しは原因を知ってスッキリするでしょうし、貴女にとって離婚協議が進めやすい、夫の浮気相手に慰謝料請求できるという大きなメリットがあります。
正社員、実家がお金を出してくれるという専業主婦、パート妻は、探偵を上手に活用することも検討すると良いでしょう。
夫の浮気相手からの慰謝料が支払われると、これもあなたの次の生活の大きな糧となります。
真の理由を隠して離婚を進めようとするケースがあること、知っておいていただきたいです。
離婚後にありがちな「家」の問題
「家をお前にやるから、離婚して」
と、専業主婦やパート妻が夫に言われたとします。ちなみに、住宅ローンが残っているケースです。
この家は財産分与で夫が妻に譲渡する、住宅ローンは夫が支払う、というこういうことを契約書に書いておけば本当に大丈夫だと思いますか? 公正証書にしておけば安心だと思いますか?
家はとても重要なことなので、中途半端な知識のまま離婚を決断すると、痛い目にあうことがあります。自宅(住宅ローンあり)をもらう代わりに離婚を受け入れるという妻は、ぜひ専門家に相談すべきです。
なぜならば公正証書に書けば万全かというとそうとは限らないからです。“リスクを最小限にする”とよくいわれていますが、どんなタイプの夫との間で契約するのか、どういう内容の取り決めなのか? によって、リスクは人それぞれなのです。
■住宅ローン滞納が思った以上のトラブルになることも
夫が金銭にだらしなく、住宅ローンの滞納の可能性もある場合は、そのような夫から自宅(住宅ローンあり)をもらう契約をしても、非常に不安が残ります。
公正証書にしていてもです。夫が住宅ローンを滞納した場合、いったいどうなるのか? そういうことも含め、物件価格、住宅ローン残額、双方の収入、他の選択肢、夫の性格、いろんなことを考えてベストな選択をすべきなのです。
夫が住宅ローンを滞納したことがきっかけで、離婚により銀行の了承を得ずに所有権を夫から妻へ移していたことが銀行にバレたという話がありました。そこから、夫と銀行又は保証会社間でトラブルとなり、妻は大変な思いをされ困っているとの相談が寄せられることが実際にありました。
住宅ローンを一括返済できる資金が夫にあるのならば問題はないのですが、今回は夫が滞納するくらいなので一括返済は無理です。
離婚して安心して暮らしていた妻も、次第にこのトラブルに巻き込まれていくことになります。最初からちゃんと専門家に相談しておきたかったケースです。こうなってからでは、いくら専門家に相談してもどうにもならなかったり、また余計に費用が発生したりする可能性があります。
離婚条件取り決め時に、もう少し慎重に考えていれば、もっと他の条件を夫から引き出せていたかもしれません。
夫が言う、「絶対支払うから」「絶対大丈夫だから」的な発言は無視して自分でしっかりと情報収集しましょう。
そうでないと、夫から財産分与でもらったはずの自宅に安心して住めなくなる事態に陥ることもあるかもしれないのですから。
離婚で終わりではない 離婚後の未来のために
いかがでしたでしょうか? 離婚協議は非常につらく、難しく、分からないことが色々あると思います。夫と協議をすることが辛くて離婚条件なんてもうどうでもよくなってしまう気持ちになることもあります。
「離婚の決断をしてから条件を検討するのか」「相手からの離婚条件提示を受けて離婚を受け入れるのか」
など離婚のパターンは様々ですが、離婚を決断する裏には、お金のことや不動産のことをはじめ、真の離婚原因を見抜く力や公正証書のこと、将来起こりうるリスクの想定など、知識がそうとう必要なのです。
離婚条件は次の生活の土台となります。そのことはしっかりと頭に入れておいてくださいね。

一橋大経済学部卒、大手保険会社勤務後、専業主婦経験ありのアラフォー2女児の母の行政書士 離婚カウンセラー。
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