“言いづらいこと”を伝える時の言葉選びと心配り【“心のマナー”メソッド#06】

“言いづらいこと”を伝える時の言葉選びと心配り【“心のマナー”メソッド#06】

言いづらいことを伝えるのは勇気がいりますし、嫌われたどうしよう…と心配になりますよね。逆に「嫌われてもいい、どう思われてもいい」と無作法に相手に言葉を投げかけることも決していいことではありません。大人の女性はだからこそ、心のマナーをもって、人とコミュニケーションを持つことを大切にしたいですね。


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“褒め上手”はコミュニケーション上手

私は現在アメリカと日本を行き来しながら仕事をしています。アメリカには世界中から多くの人々が集まっていて、私を含め、英語を母国語としない人達がたくさんいます。言葉が理解できれば通じ合えるのはもちろんのことですが、コミュニケーションは言葉だけではないと、改めて感じています。

近所で買い物をしていると、毎日のように知らない人が、「とてもエレガントね」「あなたのバック可愛いわね」と挨拶と一緒に、一言、誉め言葉を添えてくれます。私はそれがとても素敵な習慣だなと感じています。私が暮らすアメリカ南部独特の陽気さゆえかもしれませんが、誉め上手な人が多いように思います。

コミュニケーションの潤滑油になるようなひとことを、自分からかけられる。自分から相手に興味をもって、さりげなく褒められる。そういう女性は、そこにいるだけで、人間関係の温度をあげられると思います。とっさのときにすぐでてくるように「ひとこと誉め言葉」のストックの大切さを感じながら日々、過ごしています。

自分の価値観を広げる努力をすることで可能性の扉が開く

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私の大好きな絵本に『It ’s Okay to Be Different』(byToddParr)というものがあります。「違っていてもいいんだよ」という内容で、全米で何週にもわたって売り上げランキング第1位に輝いていました。

肌や髪の色が違っていても、車イスを使っていても、背が高くても低くても、いろんな形の家族がいてもいいんだよ。すべて「It ’s Okay」という本です。そんな風にすべての人に対して、「It ’s Okay」と言ってあげられる寛大さを持てる女性は素敵です。

“アンコンシャス・バイアス”という言葉をご存じでしょうか。「無意識の偏見」という意味です。おそらく誰もが持ってしまっている「無意識の偏見」を減らしていくことで、誰に対しても優しい気持ちで接することができるコミュニケーションをとれる人になっていけるのではないでしょうか。

ただそのためには、自分の価値観を広げようとする努力が重要になってきます。2018年がちょうど半分過ぎました。これから後半の6カ月を過ごすとき、「新しい感動」を探すことをちょっと意識してみてはいかがでしょうか。新しい感動を探すことは、大人になればなるほど難しくなります。いろんなことを知り、たくさんの物を見る目がすでにできてしまっている、そんな状態で、新しい感動を探すのは困難かもしれません。ですが、どんな小さなことでもよいので「365日感動する意識をもつ」こと。そんな毎日の積み重ねが、私たちの価値観を広げてくれると思います。

「事実」と「情熱」を分けてゴールを決めて話す

さて、いよいよ本題に入ります。今回は「言いづらいことを、伝える時の言葉選びと心配り」についてです。私はこう言った内容を伝える時に、「事実」と「情熱」に分けて話をすることをおすすめしています。たとえば、クレームを伝えるとき、まずは実際にあった「事実」を冷静に話します。そして最後に、「こうして欲しい」「このようにしてもらえませんか」という自分の希望、気持ち(=情熱)を伝えます。私たち女性はつい、「このような事態になって私がどんなに辛かったか、大変だったか」という自分自身の気持ち(=情熱)を最初に話してしまいがちです。

これは、恋人や家族とのケンカの時でもそうです。しかし、この伝え方の順番を間違って伝えてしまうと、こちら側に非がなかったとしても、時としてまるでこちらに非があるように取られてしまうこともありますので、話す順番はとても重要です。

そしてもうひとつ、「ゴールを決めておく」こと。ゴールがどこかわからないと、どこにパスを出したらよいかわからないのと同じで、「最終的に私はどうしたいのか?」というゴールを決めておかないと、話している自分自身も、結局何を言いたいのかがわからなくなってしまいます。そうすると、相手もあなたの話の意図が読めずに話の結論がまとまらずお互いに不完全燃焼の形で終わってしまいます。

自分が伝えるべき領域かどうか見極める

私たち人間には、それぞれ「パーソナルスペース」があると言われています。たとえば、恋人や家族がすぐそばにいるのは心地よく感じても、見知らぬ人に近くに寄ってこられるのは怖く感じたりしますよね。パーソナルスペースの中に、入ってきていい人、イヤな人がそれぞれいらっしゃると思います。

私は言葉にも「言葉のパーソナルスペース」が存在すると感じています。 家族のひとことが時として、イラッとしたり鬱陶しく感じたりしてしまうのは、お互いの存在が近く重なり合う部分が多いからこそです。まったくの他人であれば、何とも思わず流せたような言葉も、流せなかったりします。特にそれが、言いづらいことであればなおさらです。相手と自分のパーソナルスペースに合わせて、伝え方を変える必要があります。

どんな言葉を伝えるときでも「タイミング」というのは重要だと思います。パーソナルスペースが近い人であればあるほど、つい「わかってくれるだろう」思い、朝出かける直前などの忙しい時にパパっと話してしまって、誤解を生んでしまいがちです。誰でも忙しいときや余裕がないときは、普段なら素直に聞けることも聞けないものですから、まずは相手がどのような状態でいるのかを観察する必要があります。言いづらいことを伝えられるのは、信頼関係を築けているからこそだと思います。ですので、「自分が踏み込んでいい領域なのか?」を確認してから、伝えることが大切です。時には、「ここは私が伝えるべきではないな」と配慮できる姿勢も大切だと思います。

相手を想ってかけた言葉は必ずどこかで生きている

心を込めて伝えたつもりのひとことが誤解されてしまうのはとても悲しいことです。それでも誤解を与えてしまったのであれば、まずは誤解を与えてしまったことへの謝罪をしましょう。そして、誤解を与えてしまったけれど、あなたのことを思って伝えたつもりだった、というあなたの想いを伝えることです。

それでもすぐにはわかり合えないかもしれません。けれど本当に相手のことを思って、考えて伝えた一言なら、いつか届く…ということもあると思います。禅語で私の好きな言葉のひとつに、「一夜落花雨 満城流水香(いちやらっかのあめ まんじょうりゅうすいかおる)」というものがあります。 大雨で花が散ってしまったとしても、翌日川の流れとともにその香りが国中に広がる。影響力というのは、時に自分の想像の及ばないところで、伝わっていくもの。そして、思いがけないところに影響を与えていたりするものである。と私は捉えています。

当時は理解できなかった言葉が大人になってから理解できるようになったり、ずっと心のどこかに引っかかっていた一言が、時を経てストンと沁みることがあったりするように、たとえすぐではなくても、相手を思ってかけた言葉は必ずどこかで生きていると思います。

リサ・コミュニケーションズ代表 大網理紗



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この記事のライター

話し方&国際基準マナーのスクールRiSA Communicationsを設立。国際基準マナー講師。

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