【#FocusOn】『ずっと問い続けている。自分にとって何が幸せなのか、と』朝生容子さんインタビュー<第二回> | 大人のワタシを楽しむメディア
【#FocusOn】『ずっと問い続けている。自分にとって何が幸せなのか、と』朝生容子さんインタビュー<第二回>

【#FocusOn】『ずっと問い続けている。自分にとって何が幸せなのか、と』朝生容子さんインタビュー<第二回>

WOMeでアラフォーのキャリアについて連載いただいたキャリアカウンセラー朝生容子さん。現在『子供のいない人生を考える会』という会を立ち上げ活動をされています。それはご自身の辛い妊活や出産を諦めた経験からでした。朝生さんに想いを伺ったインタビュー二回目です。


ずっと問い続けています。何が自分にとっての幸せなのか?と

前回の記事はこちらから

―妊活を止めた時、どんなことを思われましたか?

うーん…妊活をしている時からずっと、後悔や反省をし続けていました。若い時に筋腫があるって言われていたのになんでちゃんと治療しなかったんだろう、とか、もっと早くから病院に行っていれば良かった、ちゃんと薬を飲めばよかった、しっかり睡眠をとればよかった、とか…「ああすればよかった」「こうすればよかった」って思ってしまうんですね。そんな思いは、妊活をストップしてもかなり長い間、心に残っていました。

でも一方で、「私にとって本当に幸せなことって何だろう?」って考えた時に「子どもがいないからといって、不幸せとは言えないかも」と思ったりもして…。

そもそも“子どもがいないと不幸なのか?”ということについてです。

経済学に“地位財”と“非地位財”という考え方があります。“地位財”とは「目に見えやすいもの」「他者と比較できるもの」です。家や車、社会的地位など外見的に見て分かるものですね。かたや“非地位財”とは「目に見えないもの」「他人は関係なく、自分の基準で価値を決められるもの」です。美味しいごはんを食べられて幸せ、だとか、素敵な友人と楽しい会話ができて幸せ、といったようなことです。

“子どもがいない”という状態に対して、どう価値をつけるか、意味をつけるかは自分次第なのです。人と比べて「あの人には子どもがいるのに私にはいない、だから不幸」とはいえない。手に入らないものに固執して“今、目の前にあるもの”の価値に気が付けなくなっていたらモッタイナイですよね。だったら、現実は現実として受け入れて、自分がこれから幸せになる方法を考えるしかないと思ったんです。

―確かにそれは辛いことですね。ですが、頭ではそう分かっていても感情がついてこない…ということもありますよね。

その通りですね。無理に明るく振舞ったりネガティブ感情を持つ自分を恥じたり責めたりする必要はないんです。子どもが産めないという事実を受け入れて、妊活を止めた時の喪失感はものすごいものがあります。先日、イギリス人女性が自分の体験を基に、子どものいない人のために書いた本を読書会という形で読んだんですが、その中の一文で“子どもが産めない”ということを受け止めた時の喪失感を「大事な人が亡くなった感覚」と表現していました。それを読んでものすごく腑に落ちたんです。

存在していないはずのものなのに、何かを失くした感覚を抱くんですね。

―なるほど…大切な人を失くした…そういった感覚は世界共通なのでしょうか? 欧米でも子どもを産まない女性というのは肩身が狭かったりするのでしょうか?

ええ、その本を読んで私も驚きました。日本だと未だに子どもを産まない女性に対して同じ女性が非生産的と言ってみたり、ただのわがまま扱いしたりすることがありました。TV番組で子どものいない女性の人生を取り上げたら「そういう女性がいるから日本が少子高齢化になるんだ」などといった抗議のFAXが送られてきたりしています。それに比べてもっと欧米諸国はそういった“○○すべき”的な感覚から解放されていて、それぞれの生き方を尊重し合っているように思っていたんです。ですが現実にはそうではなかったことが、その本を読んでわかりました。

イギリス人の女性もそういった“女性はこうあるべき”といったある種の呪いに苦しめられていました。この方は、ジョディ・デイさんという方ですが、英語圏を中心に活動を広げられています。欧米の方がそういったことを公表して分かち合おうとする活動は盛んであるようです。彼女たちもやっぱり同じように苦しい思いをしているんですね。

―朝生さんは“子どもをいない人生”を選択的に選んだ人たちについてはどう思われますか?

その人たちの選択であり、生き方は自由です。実際にFacebookページでも、そうした方も意見を寄せてくださっています。ただ、女優の山口智子さんが、『子どものいない人生を望む』とインタビューで答えられたことが話題になりましたが、その件については複雑な思いもあります。子どものいない女性がすべて、山口さんのように自主的に選択したようなイメージを作られてしまったかもしれません。

“子どものいない人生”を送っている人たちって本当にグラデーションで様々なんですよね。本当に欲しくて欲しくてしょうがなかったのにできなかった、生まれつき病気で子どもがもてなかった、そもそも子どもは欲しくなかった、男性不妊で授からなかった、子どもができたらいいなあ程度に思っていて結局できなかった、などなど。なので、会では特にそういった背景は限定していませんが、子どもがいない将来への不安などは共通であるように感じます。

―「子どものいない人生を歩む人たちはグラデーション」という言葉は、当事者であり多くの「子どものいない人生を歩んでいる人たち」と思いを共有している朝生さんならではで重みを感じました。次回は子どもがいないことで起こる弊害、日本社会の構造の歪みについてお話いただきます。第三回に続きます。

文/和氣恵子


キャリアカウンセラー
『子どものいない人生を考える会』主宰
朝生容子さん


新卒で、1988年に大手通信会社に入社。営業所窓口を皮切りに、人材開発、マーケティング等に従事。1993年に会社の同期と社内結婚。 1999年に社会人向け教育機関に転職。企業研修部門において 法人向け営業を担当。
夫の単身赴任期間での体調悪化や不妊治療の失敗をきっかけに、 自分のキャリアを見直す。2012年にキャリアコンサルタント・研修講師として独立。現在は社会人のキャリア相談に乗るほか、セミナーや研修講師、執筆等に取り組んでいる。
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