アメリカ人の母にとって働くは“当たり前”【大網理紗 エッセイ “自分軸”で生きるということ#1】

アメリカ人の母にとって働くは“当たり前”【大網理紗 エッセイ “自分軸”で生きるということ#1】

アトランタ在住、国際基準マナー講師の大網理紗さん。日本を行き来しながらお仕事を続けている大網理紗さんに、アメリカの暮らしの中で感じたこと、アメリカに住む女性の考え方や暮らしぶりについてエッセイを連載していただきます。今回はその1回目です。


アメリカの働くママ事情

「この国で働いていない女性はどこにいるのか?」

思わずそう思ってしまうくらい、赤ちゃんや小さな子どもがいても働いている女性の多いこと。アメリカは生後6週間程度から子どもを預かってくれることや、そもそも産休や育児休暇の制度がない会社が多く、だいたい産後3か月程度から復帰するママが多いことも理由なのかもしれません。

写真は子どもの保育園の帰り道。柵のむこうが保育園の敷地です。アメリカのplayground(園庭)はとても広く「今日は違う公園に行ったよ」と子どもが言うほど。保育園内に公園のようなplaygroundがいくつもあります。

アメリカに来てすぐ、私の子どもは日本でいう保育園のようなところへ通うことになりました。日本の保育園ほど激戦ではないですが、やはり大人気でキャンセル待ちが常です。 私も渡米の話が持ち上がってすぐ、まだ何も決まらない時から、まずはウェイティングリストに名前を載せてもらうことにしました。(ちなみにウェイティングリストに名前を載せてもらうだけでも80ドル程度の費用がかかります) 子どもが通う保育園は7時にオープンし、18時にクローズします。

その間の好きな時間に子どもを連れてきて、好きな時間にお迎えにくればよいことになっています。18時以降の延長はありません。日本の感覚だと、「18時までなんてお迎えがギリギリ! 間に合わない!」と思うママもいるかもしれませんね。私が住むエリアにある日本の省庁のようなところは、16時に帰宅ラッシュの渋滞になります(アメリカは車社会で、大半が車通勤)。

そして、多くのママ、パパたちが16時頃に子どもを迎えにきます。一度、仕事が押して17時にお迎えに行ったら、約20人のクラスメイトがほぼ帰り、うちの子どもともう1人の子だけが、ぽつんと残されていました。日本には「時短」という働き方がありますね。小さいこどもを持つママは、時間を区切って働いていることも多いと思います。

けれど、こちらではもともとの就業終わりが早いということもあってか、時短で働いているという話はあまり聞きません。ただ、時々15時過ぎに子どもを迎えに来る人がポツポツいます。全体の1%くらいでしょうか。理由のひとつは、日本よりも保育料が高めだからかもしれません。日本のように世帯収入によって保育料が変わるシステムはなく、日本のだいたい倍以上かかります。

会社からの補助の有無は組織ごとによって違うようで、補助をしてくれる会社にいれば日本と同じくらいになるかもしれません。 一度、同じマンションに住む中国人研究者の友人から「18時までにどうしても仕事が終わらないのでこどもを預かってもらえないか」と頼まれ、急遽預かったことがありました。

彼女はとても優秀な研究者で5歳の娘と2人で、アメリカで暮らしています。「夫は英語ができないから中国に置いてきたの」と。日本でもアメリカでも、小さな子どもを育てている時は近くに家族や親戚がいないと大変です。トラブルのときに頼れる友人を作っておくことは、世界共通。小さなこどもを持って働くことは本当に大変です。私もこどもが2歳になるまでは、無理して頑張ることが多く、気合いで乗り越えてきたことが多かったように思います。

“It's out of your business.” という考え方

日本にいる時に「小さいこどもがいるのに働くなんて…」「3歳までは家に」という世間の空気を感じたことがあります。私の会社の日本オフィスで働く女性スタッフたちと「わかるわかる」「私も言われたことあります」と、うなずきあったものでした。

「親以外に預けるのはちょっとね」「保育園なんてかわいそう」など、いろんなことを言われると過敏になってしまって、少し気にしてしまう私がいました。そんな話をアメリカ人の友人にしたら「まあ! そういうことを言われたらね、“It's out of your business.”と言えばいいのよ」と言われました。直訳すると「それはあなたの仕事ではないわよ」つまり、「あなたには関係ないわよ」という意味になります。

そんなことを伝えるのはキツイ印象がしますが、彼女は言いました。「その意見を言ってきた人はあなたのことをどれくらい知っているの? あなたのことを理解して言ってくれている言葉なの? あなたにはあなたのルールがある、あなたのスタイルがある。あなたのワークスタイルじゃない。あなたと他人の意見は違って当然よ。どうしてあなたのスタイルに他人が口をだすの」と。

アメリカには、とてもたくさんの人が暮らしています。私が普段接するだけでも、アメリカ人、ブラジル人、ユダヤ人、ロシア人、インド人、ペルー人、タイ人、台湾人、中国人、韓国人とさまざま。そして、アメリカ人と言っても、さまざまな人種と宗教、考え方、スタイルを持った人がいます。違って当然だからこそ、アメリカではより「個を尊重する」ことが求められていて、小さい頃から「自分を知ること」「他人との違いを受け入れること」、そういう教育に力を入れているように感じます。

他人のスタイルに口を出すのはエレガントではないと考えられているのです。 最後に彼女は「私たち、自分の人生に100%責任を持っている。100%取り組んでいる。だから“It's out of your business.” 私の人生だもの」 キャリアを積み重ねながら2人の子どもを育てている彼女らしい言葉でした。

※後半に続きます。

リサ・コミュニケーションズ代表 大網理紗


大網 理紗

リサ・コミュニケーションズ代表
世界の王室・皇室・政府要人といったVIP接遇業務に従事した後、全国アナウンスコンクール優秀賞、国際優秀賞受賞などの経歴を活かし、話し方&国際基準マナーのスクールRiSA Communicationsを設立。
独自のメソッドを開発しコミュニケーションスペシャリストの育成を行なう。大学、教育委員会、企業等で数多く講演。また、宮内庁・王室主催の舞踏会などで社交界の経験を積む。

著書
『人生を変えるエレガントな話し方(講談社刊)』
『大人らしさって何だろう。(文響社刊)』



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この記事のライター

話し方&国際基準マナーのスクールRiSA Communicationsを設立。国際基準マナー講師。

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