
今まで一度もときめいたことがありません。いまの彼から結婚を申し込まれていますが、ときめいたことがないまま結婚していいのか悩んでいます。
【お悩み】今まで本気で人を好きになったことがありません。周りの人が「あの人好きになっちゃった!」と嬉しそうに話す姿を見て、「羨ましいあ・・・」と思うのですが、ときめいたことがないのです。これまでお付き合いをしてきた人はあちらから告白されて付き合ってきました。今お付き合いしている人から結婚を申し込まれたのですが、ときめきがないまま結婚してしまって本当にいいのか・・・と思ってしまいます。結婚した後でときめいた人が出てきたら離婚することになってしまいますし・・・どうしたらいいでしょうか?
傷つくのが怖くて本気で人を好きになれない人が増えている
このようなお悩みでカウンセリングに来られる方は、最近大変増えてきました。結婚するのは自分なのに、自分の気持ちより人の意見が気になるようです。
自分の感覚に自信がないのですね。
まず、結婚してその人と生活するのは自分だという事を考えましょう。
朝起きたときに、隣に寝ている人です。(寝具をふたりで使うならですが)その場面を想像して幸せを感じますか?
彼の匂い、寝息、寝顔、愛おしいと思えますか?
このようなご相談をされる方の傾向として、人の顔色が気になるというものがあります。
福岡の大学のゼミで婚学というものがありました。結婚を学問にしようというゼミで、ちゃんと単位も取れます。私も社会人ゲストとして、数回参加したのですが、「本気で好きになったことがない」という学生も多く、その理由としては、
「本気で好きになって、傷ついたらどうするの?」というものでした。
相手からは好きになってもらうのは良いけれど、自分から好きになったら傷つくかもしれない、だから自分からは好きにならないというのです。
そして、その意見に周りの学生達も「うん、うん」と頷いています。
また、テレビのニュースで新入社員にインタビューをしていました。
「会社に入って、何をしたいですか?」
「はい!上司に怒られないように仕事したいです。」
唖然としました。
夢も何もないじゃないですか。
『あれもしたい、これもしたい!』と湧き上がる自発性はなく、怒られないように相手の顔色を見て無難に過ごしていくために入社したようです。
その場その場の環境や相手の顔色を伺いながら無難な反応をする。
環境次第、相手の顔色次第でこちらの手を打つのです。
それでは自分の感情が抑えられてしまいます。
無防備に出してしまうと怖いですものね。
傷つくかもしれないという状況を避けるために、好きになるという感情を抑えてしまうという事と同じです。
「喜怒哀楽」4つの感情のうちどれかを感じないようにするとすべて感じられなくなる
喜怒哀楽と言う言葉がありますね。
喜び、怒り、悲しみ、 そしてこれにプラスして恐れという感情があります。
この4つの感情が、私たちにそなわっています。
この4つの感情を、感じた時にきちんと使っていれば、喜怒哀楽のある魅力的な生き生きとした人物になります。
よく女性が、「少年のような男性が好き」とか、いいますね。
心理学の交流分析ではこの感情を『自然な子供の心』と表現します。
この感情を自然に表現し振る舞えることが魅力的な人の要素となります。
感情は、どれか1つを抑えると、連動して全体的にあまり動かなくなるのです。
悲しみを感じたくない、怒りたくないなどと抑えていると、喜びの感情も抑えられます。
喜びの感情は震えるような幸せを感じるトキメク心です。
人を好きになりドキドキする喜びを感じる心が抑えられてしまうのです。
知らず知らずのうちに、傷つくことを恐れたり、相手の顔色や態度によって自分の行動を決める、感情を決める。自分の感情を表さないようにしていると、この感情が抑えられ、人を好きになるという喜びの感覚もわからなくなっていきます。
他人の意見に振り回されるのでなく、自分の感情を大切にする
感覚を蘇らせるためには練習が必要です。
いきなり悲しんで、怖さを感じて!というのは難しいかもしれません。そこで、まずは喜ぶ気持ちを意識的に表現してみましょう。
(喜び以外の感情の正しい扱い方は私の1回目の記事をご覧ください)
「うわー!かわいい!」
「綺麗!」
「楽しいーー!!」などの感嘆詞の言葉を口にしてみましょう。
朝起きて窓を開け空を見つめ、「ううーん、気持ち良い!!」なんて言ってみましょう。
例えばテレビでスポーツ観戦した時、お気に入りの選手を見つけてみましょう。意識的にドキドキしながら、キャアキャア「素敵―!」「しびれるー!」と言いながら応援してみましょう。
最初は気持ちが伴わなくても構いません。
かわいい!おいしい!幸せ!楽しいね!ありがとう!嬉しい!
楽しい訓練です。
何も人にアピールしなくても良いです。
一人で思いっきり言ってみれば良いのです。
慣れてくると平気で人前で表現できるようになってきます。
そうすることによって感情が動き始めます。
特に喜びの感情が動き始めます。
喜びのドキドキは女性ホルモンも分泌しますから、このような感情が動かないと肌つやも悪くなり老け込みますし、PMS(月経前緊張症)や更年期症状が重くなることもありますよ。
と、思ったら、美しさや体の為にもやってみようと思いますね。
私がそうでしたから・・・(笑)
そうやって感情を育て生きていくことが大切です。
「この人を好き」という感覚を感じられる自分になりましょう。
そして何より、「優しいから」、「好きだと言ってくれるから」と自分の感情が伴わない結婚は私はお勧めしません。
そういう結婚は、何かあったときにもろいのです。
「好き」と言う原動力があるからこそ、関係を修復しようとします。
最初は「好き」というドキドキ、そして時間とともに愛情という穏やかな感情に育っていきます。
何かあったらふたりで乗り越えていく、修復していく。そうやって関係を育てていくのが結婚生活です。
ご心配されている、「結婚してときめいた人ができたら離婚することになってしまいますし」は、
今のままだと「ときめいた人」というより、今のお相手より良さそうという逃げの選択になるはずです。
そんなことでは、きっと同じことを繰り返します。
自分の感情を育て、相手に対する気持ちを確認し、それから結婚を考えてみましょう。
幸せな結婚を応援しています。
心理カウンセラー 鹿屋由佳
東京・福岡を拠点に講座や面談カウンセリングを行う。ボイスマルシェ電話カウンセラー、テレビ番組のコメンテーターなど幅広く活動中。