【#FocusOn】40代の苦しさに向き合ったからこそ、今の私がある キャリアカウンセラー朝生容子さんインタビュー/最終回

【#FocusOn】40代の苦しさに向き合ったからこそ、今の私がある キャリアカウンセラー朝生容子さんインタビュー/最終回

WOMeでアラフォーのキャリアについて連載いただいたキャリアカウンセラー朝生容子さん。2014年にあることがきっかけで『子供のいない人生を考える会』という会を立ち上げました。そんな朝生さんが考える子どもを持つということ、40代の過ごし方についてお話いただきました。最終回です。


女性の間に蔓延している“ズルい”という思い

―以前、朝生さんがそれぞれの世代特有の「嫉妬」がある、というお話をされていたかと思います。いったいどういうことでしょう?

ええ、そうですね。今の40代後半から50代は男女雇用均等法世代と言われています。この世代が社会人になった頃は、「男女平等にバリバリ働こう!」という考え方が日の目を浴びる一方で、育休などの制度もまだまだ整備されておらず、まだまだ“子どもを持つ”ことは“キャリアの妨げになる”と考えられる風潮も根強く残っていました。この時代、育休をとって出産し仕事を継続する女性は1割に満たない状況でした。子どもを持つか、第一線でバリバリ働き続けるか、どちらか選択を迫られた世代とも言えます。

ちょっと補足しますが、子どもがいない理由は、前に話したように様々な理由があります。仕事か子どもかを選択することだけが、子どもの有無を決める要素ではありません。ものすごーく単純化して話していることはご了解ください。

話を戻すと、今の40代前半から下の皆さんは育休世代と言われていて、男女雇用均等法も改正を重ね、「働くママを応援しよう!」という雰囲気のなかで制度もしっかりと整えられ堂々と…といったら語弊がありますが、育休や時短などの制度を利用しながら仕事をすることができるようになりました。もちろんまだ十分とは言えないと思いますが…。

出産年齢を過ぎつつある40代半ば以上の女性たちの中には少し下の40代前半の働くママたちに対して「子どももキャリアもなんて…、私たちの頃はそうはいかなかった」という思いを持つ方もいる。きつい言葉ですが、相手に対して「ズルい」とぐらい感じてしまう。法律や制度に女性の働き方が左右されてきた結果、起こってしまったことのように考えています。

―確かにそうですね…一方で50代60代と今よりもっと女性が働くということに理解がなかった時代にも子どもを産んで育ててキャリアも諦めなかったハイブリッドな女性たちもいらっしゃいますよね。

はい。実際に、私が勤務した会社は恵まれていて、子どもを育てることとキャリアを両立した先輩がいました。ただ、やはり少数であり、「スーパーウーマン」で「特別な人」と見られていました。多くの女性たちは自分たちが“あそこまではできない”と感じていたように思います。「総合職」という職種区分が生まれ、補助的業務ではなく企業の基幹を担う仕事に女性も携われるようになったものの、それは24時間会社のために働くという「男性並み」が前提。総合職女性の多くは子どもを育てながら、第一線での仕事を続けるのが難しかったというのが、長い間の現実だったと思います。

だからといって、働きながら子育てしやすくなった今の環境に対して、自分たちはそうでなかったと、羨んだり、嘆いてもしかたないと思います。制度や環境が整いつつある今の世代をうらやましいとは思いますが、時間は戻すことはできません。それに、女性にとって選択肢が増えることは本来は喜ばしいことですよね。

―そもそも、絶対に結婚できるわけではないし、絶対に子どもが産めるわけではないんですものね。

そうです。絶対なんてない。「絶対にない」ということでいえば、誰もが絶対に幸せになる形というものもないと思います。「結婚して子供がいれば幸せ」というわけではない。子どもが欲しくても恵まれなかったとしたら、その現実を受け入れて、そうした自分にあった幸せを見つけられると思っていますし、そのお手伝いをするのが私の仕事なんだろうと考えています。

―本当にWOMe世代…40代は人生の大きな転換期ですよね、人生100年時代と言われている中でこれからの60年近い人生をどう生きるかということに真っ向から向き合わざるを得ない。

「ミドルエイジ・クライシス」という言葉がありますが、人生の折り返し地点で人間はこれまでの生き方に疑問を持つ、ある種の危機状態になるといわれています。実際、私は40代ほど辛い時期はなかったです。人生で一番苦しかったし辛かった。

40代に入って、「子どもがいる人生」をあきらめるだけなく、その代わりに得られると思っていた「企業のマネジメントで活躍する」ことも壁にぶち当たりました。若い時に描いていたありたい姿を手放せざるを得ない状況に直面したのです。

そしてその現実をひとつひとつ受け入れなければならないことは本当に苦しかった。それまでは自分で頑張ればたいていのことは得られると信じていたところがあります。それがそうではないということに気が付き愕然としました。

自分がそんな大した人間ではないということを認めざるをえない…それは私にとって厳しいことでした。結果的にこれからの後半生を考えると、欲しいものを増やしていくより、むしろほしいものを絞っていかないとならないと感じたんです。それは、今まで信じていたものを手放すことにつながりました。「こうありたい」という自分を支えてきた思いを手放すのは自分の体の一部を引きはがすような思いがしました。

40代はこれからの後半生を幸せに生きるための勝負の時

―増えていくのは白髪やシワばかり…(笑)

ええ(笑)でもね、そこを抜けると、これまで知らなかった楽しみがあります。色んな意味で捉われることなく本当に自分の好きなことが見えてくるようになります。

―40代はそこに行きつくための勝負の年代なのですね。最後に、まさにもがいている真っ最中の40代女性たちへ妊活や生き方についてメッセージをいただけますでしょうか。

40代で妊娠を希望している女性たちは本当に色んな思いがあると思います。でも「正解なんてない」んです。その時代を生き抜いた結果、「ああこういうことだったんだな」って気が付くこともあるでしょう。最中にいる時は迷うだけ、悩むだけ、です。

絶対にして欲しくないなと思うことは、その悩む、迷う気持ちに“蓋をしてしまうこと”です。蓋をしてしまったら絶対に後で後悔します。これが一番辛いんです。過去は変えられません。変えられない過去にこれ以上、後悔する要因を作らないで欲しい。とことん悩んで悩んで苦しんで結論を出したら後はその結論を幸せなものにするのは自分自身です。

人と比べても辛いだけです。「あの人は持っていて自分は持っていない」そう思った時に嫉妬したり攻撃したりしても自分が傷つくだけです。自分で自分を傷つけないでください。私もまだまだ悩んだり苦しんだりしている最中です。でも一つ言えるのは40代の苦しさに向き合ったからこそ、今の私の幸せがあるということです。もやもやにも向き合っていれば、きっと自分らしい幸せな未来が手に入ると信じています。「40代はとにかく悩め!」これにつきます(笑)

文/和氣恵子


キャリアカウンセラー
『子どものいない人生を考える会』主宰
朝生容子さん

新卒で、1988年に大手通信会社に入社。営業所窓口を皮切りに、人材開発、マーケティング等に従事。1993年に会社の同期と社内結婚。 1999年に社会人向け教育機関に転職。企業研修部門において 法人向け営業を担当。
夫の単身赴任期間での体調悪化や不妊治療の失敗をきっかけに、 自分のキャリアを見直す。2012年にキャリアコンサルタント・研修講師として独立。現在は社会人のキャリア相談に乗るほか、セミナーや研修講師、執筆等に取り組んでいる。
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