
更年期に気分が落ち込みやすくなるのはなぜ?
不安になったり、気分が落ち込んでうつうつとしたり、涙もろくなったり、外に出ることや人に会うことが億劫と感じたり・・・。特にこれという理由がないのにどうしてなんだろう? と思うことはありませんか。
女性ホルモンが急低下する更年期は、気持ちにも大きな影響が出ます。女性ホルモンは、若々しさや骨や脳や血管を守ってくれているだけではなく、気持ちの明るさまで保ってくれているのです。そのため、女性ホルモンが急低下する更年期はどうしても、普段よりもストレスに打たれ弱くなります。そして、感情のコントロールがしにくくなるのです。
更年期あるある。環境の変化
更年期の時期は環境面の変化が起こりやすい時期でもあります。たとえば、親の介護が始まる、子どもが巣立っていく、仕事では責任ある立場になっていく…というような変化です。
どれか1つを取っても大きなことですが、さらにここに「更年期」の体調変化も加わります。女性ホルモンの急低下に加えて、自律神経が乱れ、急に汗をかいたり、体温調節がうまくいかなくなったり、疲れやすくなったり、これまでに感じたことのないような症状に悩まされる方も少なくありません。
このような環境面の変化と更年期のカラダの変化が同時期に起こるので不安や、気分の落ち込み・うつというような心の不調を感じる方が少なくないのです。
心の不調には一定のリズムでカラダを動かすこと
軽いうつの場合は、適度な運動を続けることで症状が改善することや、再発の予防になることが国内外の研究で報告されています。また、運動は更年期症状を緩和させる効果も認められています。
心の不調を改善するには、ウォーキングや軽いジョギング、バランスボールエクサササイズなど、一定のリズムで体の筋肉を動かす有酸素運動が特にオススメです。これらの運動によって、気持ちの安定に深く関わる神経伝達物質「セロトニン」が活性化しやすく、意欲的でポジティブな思考になるといわれています。
また、運動習慣のある人とない人の更年期の心やカラダの快適さを比較すると、運動習慣のない人は、体にも心にも更年期症状が出やすい傾向がありました。それは、肩こり、腰痛、手足の痛み、疲れやすい、冷え、ほてりなどのカラダに出てくる症状だけでなく、イライラしやすい、気持ちが落ち込む、うつうつとするというような心に出てくる症状も含まれます。
運動は、週に1〜2時間程度でもうつになる予防効果があるとの報告もあります。短時間でもいいので、ぜひカラダを動かしてみてください。
更年期に心の症状が改善しない場合は婦人科へ
運動や生活習慣に気をつけても、症状が緩和されない場合は、ためらわずに専門家の元へ行くことは大切な選択肢です。
更年期うつとうつ病は原因が違うので治療法が異なります。更年期うつの場合に行くのは精神科や心療内科ではなく「婦人科」です。性ホルモンが減少したことが原因の1つだからです。更年期の心の不調は、まず婦人科(閉経外来・更年期外来)、ということを覚えておいてください。
カラダの変化を知ることで余裕が生まれる
更年期は性ホルモンがカラダの中でダイナミックに変化をします。そのため、時に自分の心とカラダが自分の思い通りコントロールできないことがあります。
今までと同じように、テキパキと物事がこなせなくなったり、思考が鈍ったり、カラダが思うように動かなかったり…。しかし、それはあなたが怠けているわけでも、性格が悪くなったわけでもありません。
まずは自分のカラダの変化を知ること、対策ケアに取り組むことです。知ることで、同じ症状や変化が起こっても、大変さや捉え方、余裕が変わってきます。
更年期には必ず終わりがあります。大事な決断は、心とカラダの調子がいいときにしましょう。
NPO法人ちぇぶら代表理事 永田京子
ピラティスや産後ケアの指導者として活動する中で、40代の受講者たちの声を受け更年期を迎える女性をサポートする「ちぇぶら」を設立。