
【お悩み】夫は外面がよく、ママ友からの評判もいいのですが、家ではなんにもしないし、話しかけても返事もしません。そんな態度にイライラします。どうしたらいいですか。
うちの夫は本当に外面がいいんです。保育園のイベントには積極的に参加するし、バーベキューでもお肉を焼いたり片付けしたり、手際もいいです。なので、ママ友からは「家でもいろいろやってくれるでしょう」と羨ましがられるんですが、とんでもない! 家では何もしないし、話しかけても上の空で返事もしません。すごく腹がたちます。どうしたら家でも外と同じようにしてくれるでしょうか。( Mさん・38歳)
家庭は巣の自分でいられる安心できる場所
Mさんのご主人は「外面」がよく、ママ友からの評判もいいんですね。
外では積極的に手際よくこなすのに、家ではまったくその反対でなんにもしない…。
周囲から「いい人ね」と言われている人って、案外そんな側面があるのかもしれませんね。
Mさんの悩みは、ご主人の行動にギャップを感じていること。
外と家で極端に差のある態度や言動が気に入らないのだと思います。
人当たりがよく、愛想もよく、頼まれたことは断らない。でも家では外とは違う別の顔を見せる「外面がよく内弁慶な人」は体裁を気にして「いい人」を演じているともいえます。
演じているので、多少なりとも無理をしています。
無理は長続きしませんから、どこかに自分の居場所を求めます。その場所では無理をしたり疲れるようなことはしません。
つまりご主人にとって、自分の家は素の自分でいられるということです。本当の自分をさらけ出してもいい安心できる場所といえます。
外がご主人の本当の居場所になるよりも、家で素の姿を見せてくれる方がずっといいと思いませんか。
ただ、もう少し外と家でのギャップは少なくしてほしいですよね。
外面が悪い夫は、もっと大変!?
私の相談者さんで、夫の破天荒な態度と言動にほとほと困り果て「夫に振り回されて気が休まる暇がない」とカウンセリングを受けにこられる方がいました。
夫が仏頂面で横柄な態度、暴言を吐くことが多いため、日常生活でもトラブルに巻き込まれることが頻繁にあり、夫のすることなすことに、奥さんが尻拭いをしていたそうです。
このように、マイペースの「外面が悪い人」というのも、また大変です。
社交性がなく、世間との交流を遮断してしまうような人よりも、その場の空気を読み、気を使いながら行動する人のほうがトラブルは少ないといえます。
理想を強要すると、変化は望めない
とはいえ、Mさんの気持ちもよくわかります。
「家では何もしないし、話しかけても上の空で返事もしません」
それはつらいですよね。外と家でのあまりの違いにモヤモヤイライラすることでしょう。
カウンセリングの現場でも、配偶者が「話を聞いていない」「心ここにあらず」「いつも上の空」という妻からの不満の声をよく聞きます。
多くの妻が望んでいるのは、
「夫が話をちゃんと聞いてくれる」
「穏やかに話し合える」
「会話が弾む」
そんな家庭と夫婦像を望んでいるのですが、ここでも男女の違いがあり、たいてい夫側に悪気はなく、リラックスモードに入っているだけなのです。
また、男性は、女性に比べ、見栄やプライドが高いところがあるので、外では家とは違う面を見せてしまう傾向にあるかもしれません。
長所にフォーカスして、認めて褒める
ではどうしたら理想の方向に進むのでしょうか。
「外面がいいよね」「家でもやって」「そんな態度を取らないで」とストレートに伝えたところで、ご主人は嫌な気持ちになるだけです。
ご主人が、「そうだね、これから気をつけるよ」と素直に反省してくれたらいいのですが、そう簡単にはいかないですよね。
Mさんは、家でも外と同じようにしてほしい、と望んでいます。
「家でもそうしてほしい」と夫の行動を認めているのですから、そこはMさんが自覚して伝えてもいいのではないでしょうか。
バーベキューのお肉を手際よく焼いたり、積極的に動いたり、ママ友たちから羨ましがられる行動は、Mさん自身が認めていることです。
いいところにフォーカスすれば、意識が変わりますよ。
「あんなふうにやってくれたら(私は)嬉しい」「(私は)とても助かる」と、私を主語にした「Iメッセージ」で伝えます。
「(あなた)は外面がいい」「(あなた)が家でもやって」というのは、相手(You)を主語にした言い方です。「YOUメッセージ」は、命令されたような抵抗感があるので言い方にも気をつけて。
誰しも、長所短所があり、いいところと悪いところを持ち合わせているので、いいところは見逃さずに認めて褒めてくださいね。
バランスの取れた完璧な人はいません。つい、相手のことばかり気になってしまいますが、じつは自分自身も同じで、外面の良さは多少あるはずです。
人は、自分が満たされていないと人に対して優しくなれません。
心にゆとりがない状態では受け入れるのが難しいのです。
まずは、ねぎらって淡々と明るく接してほしいと思います。そのうえで、Mさんの思いを伝えましょう。
ご主人に気づきがあり、聞く耳を持つようになれたら、そして夫婦で共有できたとき、きっとMさんが望むご主人に変化していますよ。
夫婦問題カウンセラー 渡辺里佳
夫婦問題カウンセラーとして、結婚・離婚・夫婦に関するコラム記事を発信、電話カウンセリングのボイスマルシェでも活動している。