『オトナの保健室』著 性に正面から取り組む 朝日新聞「女子組」取材班インタビュー<後半>

『オトナの保健室』著 性に正面から取り組む 朝日新聞「女子組」取材班インタビュー<後半>

大手新聞の夕刊に“セックスレス”や“不倫”の文字が並ぶ…性に対してオープンになりつつある今でも少しの驚きをもって読み進める朝日新聞の「オトナの保健室」企画。記者の皆さんは朝日新聞という大手メディアのなかでどんな想いをもって、この企画に取り組んでいるのか伺いました。その後半です。


「オトナの保健室」でしか取り上げられないテーマにこだわる

前半の記事はこちらから

―女性を対象にした企画「女子組」のなかで、特に「性」に関して取り上げるのが「オトナの保健室」なんですね。

桝井さん:そうです。

先ほども少し伺いましたが、テーマを決める時に特に心がけていることはありますか? 例えば今だとLGBTに関して日本でも広く語られるようになってきましたが、ひと昔前では考えられなかったと思います。あまり先取りしないようにしよう…とかそういった加減を考えていらっしゃったりしますか?

桝井さん:そうですね、まず読者の方が自分の問題として考えづらいテーマは設定しないようにしています。なので“先取りしすぎる”というようなことはないですね。あとは、LGBTなどマイノリティや差別に関することなどは、社会面でも広く扱うことができます。オトナの保健室じゃなくても掲載することができるんですね。なので私たちはオトナの保健室でないと取り上げられないテーマかどうか、ということに注意して企画を決めています。

―なるほど。たしかにマイノリティなど差別に関わるような問題は社会面に掲載できますね。他の紙面に掲載できることは設定しない、ということですね。

桝井さん:そうですね。

―現在、オトナの保健室は朝日新聞夕刊と朝日デジタルで掲載されていますが、新聞とWEBで掲載内容が違うことはありますか?

桝井さん:基本的には同じですが、紙面には限りがありますので、載せきれなかった情報を朝日新聞デジタルに掲載することはあります。インタビューなどですね。

―我々WOMeもそうですが、紙のメディアをもっていないWEBだけのメディアも多くあります。そういうなかで気を付けていること、心がけていることはありますか?

桝井さん:紙でやってきた人間がセックスレスや不倫などのテーマを恐る恐る取り上げているなかで、WEBの世界ではそんな情報は当たり前のように語られていたりもしますよね。なのでデジタル空間ならではのテーマ設定、というのも今後は大切になってくるのかなあと思います。また、WEBメディアの皆さんはライバルであり、よきパートナーと考えて、今回のような取材も受けさせていただきました。

―ありがとうございます! オトナの保健室が朝日新聞デジタルに掲載されるようになって、読者層は変わってきたように感じますか?

中塚さん:そうですね…新聞を購読されている方の年齢層は高いですが、反響に偏りがあるということはないです。20代の方から高齢の方まで、新聞でもWEBでも反響があります。

タブーに蓋をしても何も変わらない

―大手メディアだからこそ表現しづらいこと、大変なことなどたくさんあるかと思うのですが。

机さん:「購読を止める!」というお声をいただいたこともあります。ですが、問題になっていることに蓋をしていても何も始まりませんよね。個人的な見解になりますが、オトナの保健室を続けることで、女性にも性の悩みがある、ということを表面化したことはとても大きな功績ではないかと思っています。

―本当にそう思います。朝日新聞のような大メディアがそれを取り上げるということの社会的意義がものすごくあると思います。女性だって性に悩んでる。当たり前のことですが、それを表立って言うのはタブー視されてきました。

机さん:まさに仰る通りです。タブー視して悩んでいるところで止まってしまっているんですよね。パートナーに伝えなければ解決しないことなのに、それをどう伝えたらいいのか分からない。

桝井さん:よりよいコミュニケーションをとるためには伝えるところから始めなければいけないんですよね。

机さん:まさにこれから始まる新しい企画が「女性とタブー」なんです。無用なタブーなんか取り払わなければいけませんよね。

―本当にそう思います。女性のセルフプレジャー問題など、どんどん表面化するべきですね。

机さん:そうなんです! 新企画の第一回目はTENGA広報の工藤まおりさんのインタビューなんです。WOMeさんでもインタビューされていましたね。

―はい。ああいった素晴らしい活動をされている方々がフォーカスされていくことで女性はどんどん自由になると思っています。今後も企画を楽しみにしております! 今日はありがとうございました。

桝井さん、中塚さん、机さん:ありがとうございます! こちらこそありがとうございました。

文/和氣恵子

オトナの保健室: セックスと格闘する女たち (単行本)

¥ 1,404

セックスレス、不倫、セクハラ、そして世界的なうねりを見せる#MeToo運動。 誰しも何らか抱える性に関する問題が、識者のコメント、対談、インタビュー、一般読者投稿から赤裸々に語られる。 語り下ろしの村山由佳さんと酒井順子さんの対談の他、上野千鶴子さん、宋美玄さん、こだまさん、はあちゅうさん、伊藤詩織さん、紗倉まなさんなど各界著名人が登場。 朝日新聞夕刊連載中の人気記事、待望の書籍化。




机美鈴(つくえ・みすず)さん=大阪本社生活文化部記者
1979年生まれ。2002年入社。もとは事件記者だったが、フェミニズムに目覚めて30歳を目前に「転向」。女の生きづらさと日本にはびこる同調圧力が主な取材テーマ。「オトナの保健室」担当記者の一人。




中塚久美子(なかつか・くみこ)さん=大阪本社生活文化部記者
1971年生まれ。1998年入社。2008年から生活文化部。主に、子どもの貧困やジェンダー関連について取材。「オトナの保健室」は立ち上げ当初から2017年8月まで担当。




桝井政則(ますい・まさのり)さん=大阪本社生活文化部デスク
1968年生まれ。1992年入社。「オトナの保健室」には2015年春のスタート時から現在までデスクとして関わる。結婚時に妻の名字となり、仕事では旧姓を使っている。



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