【#FocusOn】『〈女子力〉革命』刊行記念 萱野稔人×ジェーン・スー対談「人生100年時代の女子の生き方」イベントレポート | 大人のワタシを楽しむメディア
【#FocusOn】『〈女子力〉革命』刊行記念 萱野稔人×ジェーン・スー対談「人生100年時代の女子の生き方」イベントレポート

【#FocusOn】『〈女子力〉革命』刊行記念 萱野稔人×ジェーン・スー対談「人生100年時代の女子の生き方」イベントレポート

人生100年時代と言われている今、従来通りの人生モデルが通用しなくなりつつあります。そんな時代をどう生きればいいのか? という問題に津田塾大学・萱野稔人教授と学生たちが真正面から向き合って対策を練ったものをまとめたのが『〈女子力〉革命――人生100年時代を生きぬくために』(東京書籍)です。刊行を記念して萱野稔人教授と作詞家でコラムリスト、ラジオパーソナリティのジェーン・スーさんの対談が行われるということで行ってまいりました。


女子大と共学ではコミュニケーション方法が違う

寿命が延び、人生100年時代と言われている今、アラフォー世代の私たちは、自分の親たちのような老後は見込めない可能性が高い。結婚も当たり前ではないし、年金受給年齢も上がるでしょうし、退職金や雇用制度もどうなるかわからない…。そんな時代を女性がどう生きればいいのか、ということについて津田塾大学・萱野稔人教授と学生たちが対策を練った『〈女子力〉革命――人生100年時代を生きぬくために』(東京書籍)が発刊されました。記念イベントとして萱野稔人教授と作詞家でコラムニスト、ラジオパーソナリティのジェーン・スーさんが代官山 蔦屋書店で対談しました。

イベント参加者は女性一色とか思いきや、男性の姿もチラホラ…人生100年時代を生きるのは男性も一緒。おひとり様でなければパートナーと取り組まなければいけない問題ですよね。こういうイベントに参加する男性って素敵…そんなことを思っているうちにイベントがスタートしました。

萱野教授:今日はよろしくお願いします。あまり本の話をしてもな、と思うのですが、読んでいただけたということなので感想を教えていただけますか?

スーさん:よろしくお願いします。本の感想はですね「障害物のないところで自由闊達に勉強している女子大生ならではの一冊!」って感じがしました。

萱野教授:障害というのは男性のことですか?

スーさん:そうです。男がいない、忖度が必要ない環境で女同士のコミュニケーションをとりながら学生生活を送っている雰囲気がすごく伝わってきました。私も女子大だったんですが、共学と女子大ってコミュニケーションルールが違うんですよね。共学だった女の方が男の地雷を良く知ってる。男に優しさと理解をもってちゃんと接することができるんですよ。女子大出身者はそれが乏しい傾向にある。男女のバックグラウンドの違いを理解せず「先生! ○○くんが掃除しません!」みたいなことをいまだにやっちゃう。

萱野教授:あー、それは本当にそうですね。コミュニケーションルールはぜんぜん違いますね。それで社会に出て苦労しませんでしたか? 何年くらいで慣れました?

スーさん:うーん。私は3年くらいですかね。まあ社会に出てからの生傷が絶えませんでしたよ。

萱野教授:こういう言い方をしてはなんですが、女子大は今や斜陽(しゃよう)で人気がなくなっているんです。そこでぜひ女子大出身のスーさんに女子大のいいところについてお話いただければと思っております。女子大をPRしてください(笑)

スーさん:まず、“男がいないとはじまらない”という概念がないですよね。なんでも自分たちでやるのが当たり前。やっちゃう。クラスで飲み会するにしても、店を探して予約をして飲んで食べてお金を払って介抱するところまで全部自分たちで。性別による役割分担みたいなものがないんです。自分たちだけで完結する自家発電所ですよね。私が通っていた女子大だと、面白いことを誰かが言ったらこっちも面白いことを言って応戦し合って盛り上がるのが常でした。しかしそれを男にやっちゃダメらしいってことを、卒業してから学びました。コミュニケーションとしては、男が面白いことを言ったら笑ったほうがスムーズ。

萱野教授:(苦笑)ほんとそうですね。その辺はぜんぜん違う。他には女子大についてはどう思われます?

スーさん:存在を親に肯定されている子が多いですね。なので自己肯定力が高くて何の根拠もない自信がある女が多い。あとは教育熱心な親のもとで守られて愛されて育っているように感じます。

萱野教授:ああ、それはそう思います。オープンキャンパスにお父さんも一緒に来る場合が多いです。

スーさん:悪い虫が付かないように、って女子大に入れるんでしょうが、30歳になっても虫がつかなくて「もうそろそろ…」となる(笑)

女子力ってなんですか?

萱野教授:ところで、スーさんは女子力って何だと思いますか?

スーさん:自著『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)には「真の女子力は付き合う前にやらないこと」と書きましたね。男は手に入れるまでの時間が長い女の方がいいみたいですね。Uber eatsじゃダメなんです(笑)

萱野教授:ほんとそうですねー男って、すぐ手に入る女性は安っぽい人と考えちゃう。

スーさん:あとは野垂れ死にしない力ですかね。

萱野教授:そこは男子力も同じですね。

スーさん:自分で生き延びられる力があるって本当に大切ですよね。現状のまま真の男女平等という理想に近づくとね、“男の弱いのと女の弱いの”チームと“男の強いのと女の強いの”チームっていう分断になっちゃうと思うんですよ。例えば、働いている人と家事育児がメインの人の家庭内での価値、どっちが上下とかじゃなくて、家庭で家事をする、家を回すという仕事の価値と社会でお金を稼ぐという価値を真にイーブンにしないと、「結婚すると男の下になってしまうんじゃないか」って感覚はなくならないと思います。パートナーと私は結婚していないんですが、役割的には向こうが専業主夫なんですね。そうすると、性別が男でも自分の価値が下がるというか、危うくなる感覚になるみたいですよ。というか、私がそういう振る舞いをしてるらしい。

萱野教授:男でもイーブンになるのではなく下がっちゃうんですね。

スー:そうです。男女が平等になるだけではなくて、社会から認識される役割の価値が平等にならないとダメみたい。

おひとりさまの老後を生きるには?

萱野教授:今って結婚して出産して…というカタチがマストではなくなってきていますよね。お見合いおばさんがいなくなった、などという背景もあると思いますが、スーさんはどうしてだと思いますか?

スーさん:女性は結婚で自分のレベルを落としたくないという、いわゆる“上昇婚”へのこだわりがあるんでしょうね。さっきも言いましたが、結婚すると男の下に入る感覚がある女は、まだまだ多いと思うんですよ。だからどうせ下がるならなるべく高いところから下がりたいと。そうなると男女平等になればなるほどそんな相手はそうそういないっていう。

萱野教授:なるほど。男は男で恋愛市場において与えるものをたくさんもっていないと恋愛対象にしてもらえない。持っていない人は自信がなくなって、自分なんかが結婚できるはずないと諦める。

スーさん:なのでね、女の“上昇婚”思考を取り除くためにも、どっちの役割が上下みたいな感覚をまずはなくしていく意識を持つことがまず大切だと思います。言うは易く行うは難しですけどね。

萱野教授:いまって生涯未婚率が15%っていわれていますよね。これが30年後には20%になるって言われています。すると1/5ですよね。10人いたら2人生涯結婚しないわけです。さらに3組に1人は離婚すると言われていますから、8人中2~3人は離婚していることになる。そうすると老後を夫婦で過ごす人は約5人というわけです。さらに死別とかもあると数は下がりますよね。つまり、結婚やパートナーいることを前提として人生プランを考えないほうがいい、ということですよね。

スーさん:だからこそ、仕事を続ける力、毎月お金が入ってくる仕組みを自分で持っているということがとても大切ですね。

「男だから」「女だから」あるべき論は“慣れ”により解消されるはず

萱野教授:パートナーが専業主夫ということは料理とかバーンと作って待っていてくれるんですか?

スーさん:そんなわけないじゃないですか! 以前、仕事で遅く帰ってきたときに家に食べるものがなくて、冗談で「ご飯くらい炊いといてよ!」と言ったら、そういう言い方はよくないとしばらくお米を炊いてくれませんでした(笑) 専業主夫という存在はまだまだ少ないので、いろいろ大変みたいです。専業主婦の輪に入るチャンスはないし、平日の昼間にいい年の男が住宅街を歩いてたら下手すりゃ通報されちゃうご時世らしいし、パートも日中2~3時間できる仕事って女向けのものばかりで男ができるものがなかなかない。

萱野教授:たしかに…男はそういう意味でいうと“フルタイムで働かない”という選択肢はあまりありませんね。仕事をやめられないと思う結果、毎年3万人が自殺していると言われていますが7割が男なんですよね。20~60代の働いている男性です。

スーさん:働いてうまくいかないからって死ぬ、死ななきゃならないって思う環境って相当やばいですよ。

萱野教授:政府も対策を出していますが、もともとの意識の高い人たちが考えることって一般の、しかも自殺しちゃうかもしれないような人たちには実行できないですよ。

スーさん:今って夫婦だと男は外で働くのがメインの仕事で、女は夫より稼ぎは少ないけど外で働いてプラス家事と子育てはメインでやるって人が多いかと思うんですけど、私ね、性別じゃなくて地位や立場が人の発言や行動を作るって思うんです。よく「出世したくない」とか言っている女性によくよく話を聞くと「私なんかが課長になれるわけない。器じゃない」っていうんですよ。

萱野教授:あーそれは
課長になれるような女性はバリバリ仕事ができている人から、あんな風にはなれない
と。

スーさん:そうです。でもね、男の場合、仕事のできない課長なんてゴロゴロいると思うんです。だから仕事のできない女課長がいたって全く問題ない。慣れなんですよね。とにかく数を増やして、そういう状態に慣れるってことが必要。

萱野教授:わかります。とにかくロールモデルをつくって目を慣らしていくことが大切ですよね。

スーさん:一昔前なら、おじさんがスーパーでレジ打ちしていたら「なんだか可哀そう…」なんて思っていましたが、今なら「もっと愛想よくしてよ」って思う。おじさんのレジ係に目が慣れた結果です(笑) 

人生100年時代 いつまで働くか問題

萱野教授:人生100年時代を生きるのに大切なことは何だと思いますか?

スーさん:体力ですね。

萱野教授:たしかにそうですね。男もね40代前半くらいまでは知力がある人が出世するんですが、それ以降は体力がある人、どんな時も怒らずタフでいられる人が生き残るんですよ。

スーさん:もうね、この年になるとやる気はみなぎっててもカラダに出ちゃうんですよ。「まだまだ原稿書くぞ!」ってやる気満々なのにまず目にくる。夕方ぐらいからはもう疲れて焦点が合わなくなってきちゃうんです。なので、カラダが第一。私は筋トレしてます。

萱野教授:今年の流行語大賞に“筋肉は裏切らない”ってノミネートされていましたね(笑)

スーさん:そうですね(笑)筋トレするのは生きぬく体力をつけるためです。自分以外の人のためにも。私の友人は「親が倒れた時に抱きかかえようと思ったら全然無理だった。このままじゃ介護の体力がないからトレーニングを始めた」とかね。

萱野教授:では、何歳まで働きたいと思いますか?

スーさん:75歳までは働かなきゃ生きていけないでしょうね。なので75歳までは確実に働きます。

萱野教授:それ以降はもう働かなくていいですか?

スーさん:私は呼吸をするように仕事しちゃうところがあって。なんでも効率や生産性を考えてしまう。いわゆる純粋な趣味っていうか、そういうものがないんですよね…読む本にしても、「ラジオでネタになるかな」とか全部、仕事に繋げちゃう。なので75歳過ぎたら生産性を求めず暮らしたいです(笑)萱野さんはどうですか?

萱野教授:僕は死ぬまで仕事していたいですね。男って友だちとかいないんですよ。それで仕事もやめちゃったら妻しか話す人いなくなりそうだな、と(笑)なんて話をしている間にあっという間に時間になりました。スーさん今日はありがとうございました!

スーさん:ありがとうございました。

―この後、参加者からスーさんと萱野教授への質問コーナーがあり、最後に萱野教授のサイン会が行われイベントは終了しました。『〈女子力〉革命――人生100年時代を生きぬくために』(東京書籍)を読むと未来をリアルに感じ今をどう生きるか考えさせられます。アラフォーの今こそ読むべき一冊。きっと現実を見る目が変わると思いますよ。

文/和氣恵子

【プロフィール】
萱野 稔人(かやの・としひと)

哲学者、津田塾大学総合政策学部教授・学部長。1970年、愛知県生まれ。
早稲田大学卒業後、フリーター生活を経て渡仏。
2003年、パリ第十大学大学院哲学科博士課程修了。博士(哲学)。
著書に、『国家とはなにか』(以文社)、『成長なき時代のナショナリズム』(角川新書)、『死刑 その哲学者考察』(ちくま新書)、『社会のしくみが手に取るようにわかる哲学入門』(サイゾー)などがある。趣味は、ダイエットと豊かな食生活の両立を追及すること。

ジェーン・スー
1973年、東京生まれの日本人。コラムニスト、ラジオパーソナリティ。
現在、TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」のMCを務める。
『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で第31回講談社エッセイ賞を受賞。
著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』、
『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』、『生きるとか、死ぬとか、父親とか』などがある。

イベント会場:代官山 蔦屋書店

女子力革命

¥ 1,512

『女子力革命』(東京書籍) 編集/萱野 稔人 結婚はどうする? 子どもはほしい? 仕事は何歳まで?老後のお金は? 後戻りのできない超少子・超高齢時代。既存のモデルが通用しない時代を生きぬいていくために必要とされる「力」とは何か?津田塾大学の学生が、これから直面せざるをえないみずからの人生の問題を世に問う。



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