実は、特定の誰かの目が気になっている
世間の目を気にすると言っても、世界中のすべての人によく思われたいと思っているわけではありません。あなたが気にしているのは特定の誰かではありませんか?電車の中でお化粧する人は、電車の乗客の目は気にしていなくても、電車を降りて会う人の目を気にしているのでお化粧をしているはずです。
その人にどう思われるかのために、どのくらいのお金や時間を使っているのか気づいて見ましょう。
ママ友の集まりに持っていくために高級ブランドのバッグを買ったり、会社のランチでの話題についていけるようにテレビやスマホをこまめにチェックしてお店に通ったりするのは、お金や時間の無駄遣いではないでしょうか?
ちょっと高価なものを身につけ、人より情報をたくさん知っていることであなたが幸せを感じるなら、それもいいかもしれません。
しかし「このバッグでは古いと思われるかも」「こんなことも知らないの? って思われるかも」などという悪い評価から逃げたくて何かをしているのなら、それはもったいないことです。
持ち物や情報だけではありません。子供の習い事、通わせる学校、住まい、インテリア、料理、レストラン選び、エクササイズ、趣味、付き合う人・・・。それらはあなたが本当にいいと思って選択しているものなのか、あなたが意識する“誰か”がいいと思いそうなものなのか? そもそもその“誰か”って誰なのでしょうか?
一度立ち止まり、自分の心を見つめてよく考えてみましょう。
あなたも誰かにそう思っている
「こう思われたくない」とあなたが恐れていることは、他の誰かに対して抱いたことがある思いかもしれません。例えば、他人を見て「あんなものを子供に食べさせてるんだ」と思っていると、自分も同じように思われないか心配になるのです。
また脳は、一度経験したことで情報を蓄積して、必要な時に思考となって表れます。聞いたことも見たこともない事は、思考として浮かんでこないはずなのです。ですから、幼いころから繰り返し見聞きした事が自分の思考に影響しています。親が「ジュースは体に毒だ」といつも言っていたら「ジュースを子供に飲ませるべきではない」という思考につながり、「子供にジュースを飲ませている自分を周りはどう思ってるかしら?」と気になってしまうのです。
あなたが恐れている世間の目は、あなたの分身なのかもしれません。
それが正しいかどうかは別として、まずは自分の思考のベースとなっている考え方に気づく事が大切です。気づくポイントは人を批判している時です。心の中で人を批判しているのに気づいたら、「こうあるべき」という自分の思い込みやこだわりへの気づきにつながります。
他人が喜ぶ生き方? 自分が喜ぶ生き方?
子供が親の喜ぶ進路を選ぼうとする事があります。いい学校に入れば喜ばれる、この職業に就けば安心してもらえる。大切な人に喜びや安心を与えたいという気持ちは一見素晴らしく見えますが、自分の意思や希望と一致していなければ目標を達成した後、人生の喜びを見出すのに苦労します。
人生は選択の繰り返しです。進路もネットの記事を「もっと読む」かということも、すべて選択。この選択の積み重ねがあなたの人生になるのです。これら一つ一つの選択を誰かの基準でしていたらあなたらしさはなくなり、人の意見に振り回される人生になってしまいます。どちらを選べば自分が幸福になれるのか? その時の感情や欲求に従うのではなく今もこれから先もハッピーになる方を選びましょう。
自分らしさをきちんと貫ける凜とした美しさを持つ
「8割の凡人に2割の偉人」という言葉を聞いたことがあります。(実際には歴史に残るような偉人は2割もいませんが・・・)
世間の目が気になる人でも、8割の人々に変だと思われないことなら安心感があるのではないでしょうか。その8割の人々とは、いわゆる普通の人、凡人です。大多数の凡人に支持されるような道を選べばあなたも凡人。
8割の人と変わらない考えを持ち、同じような服を着て、同じような暮らしをしたいなら、世間の目を気にしながら毎日暮らせば間違いないでしょう。
一方、自分の意見や好みをしっかりとアピールすると、少数派でもそれに共感する人が近づいてきます。大多数の意見とは違っていても孤独になることはありません。
「世間の目を気にしない」とは、どう思われてもいいというような投げやりな考え方ではなく、自分らしさをきちんと貫ける凜とした美しさだと私は考えます。
これが私!と胸を張って言えるような信念を持ち、ハッピーに毎日を過ごしたいものですね。
株式会社マインドフルヘルス代表山下あきこ
医学博士、脳神経内科・内科医師。2016年に健康習慣を身につけるサービスを提供したいと考え、株式会社マインドフルヘルスを設立。