
助産師でも自分の外性器を見たことがない人が多い
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―先ほど助産師さんでさえ自分の外性器を見たことがある人は少ない、と仰っていましたが、そもそも自分のカラダについて知らない女性たちが多いと感じますか?

やまがたさん:本当にそう思います。例えばセルフプレジャーに関してだって、はしたない、とか、寂しいからするんだ、とかいうじゃないですか。でもセルフプレジャーってリラックスして自分のカラダを緩めて自分で自分を幸せにしてくれる素晴らしいものですよね。大人の女性がセルフプレジャーを否定しているから、自分の子どもがセルフプレジャーをしていると驚いて精神的におかしいんじゃないかとか思うんですよね。でも小さな女の子だってふつうにセルフプレジャーをします。だって気持ちいいんですもん(笑)美味しいものを食べたり楽しく遊ぶのと同じように気持ちが良いことは普通にしたいですよね。でもなんとなく堂々とするものではないということは分かっていてコッソリする。それを親に見つかって酷く怒られたりしたらショックですよね。セルフプレジャーをやめられない自分を否定してしまうかもしれません。
―やまがたさんにWOMeの連載でもそのお悩みに答えていただきましたよね。ぜひそちらを読んで欲しいと思います。
大貫さん:そうなんですか! 読んでみます。
自尊感情を傷つけられてセックスができますか?
―しかし日本の夫婦のセックスレス問題は根深いですよね。
やまがたさん:男性の働き方の問題も大きいですよね。夫が忙しすぎて疲れていて勃たないということも多いと思います。体力が下がっていますよね。
大貫さん:家にいる時間がそもそも少なそうなイメージです。
やまがたさん:ちゃんと「まぐわい」ができる時間がないんですよね。講演をすると色々と相談を受けるんですが、もう酷いですよテレビを見ながらセックスされるとかあります。
―最低ですね…
やまがたさん:最低ですよ。潜在的なDVですよ。妻もそんなんじゃあ自己価値を高められないですし、セックスをするのが嫌になって当然です。

大貫さん:大事にされていないのにセックスだけすりゃあ良いってもんじゃないですよね。ちゃんとコミュニケーションがあった上でのセックス!
やまがたさん:男性ってそもそもコミュニケーション能力が女性より低いといわれていますよね。得意不得意あると思いますが、女性が愛情を注いでコミュニケーションをとることが大切だと思うんです。そういうことを言うとね「めんどくさい」と仰る方もいらっしゃいますが、でもそもそもそういう夫を選んだのは誰ですか? という話で。お互いさまですよね。生活費を稼いでくれるただのATMじゃないんですよ夫は。共に生活する人として感謝して、立てるところは立ててしっかり妻の側からコミュニケーションをとっていく必要性があると思います。以前、娘に「一番大切な家族は誰?」って聞いたんです。そしたら「パパ。命の種をママにあげて私たちが生まれたから」って答えたんです。
―素晴らしい!!
やまがたさん:性のお話し会などでは、おちんちんのことを“JOYスティック”って呼んで敬っているんです(笑)
(一同爆笑)
“性の話”はユーモアを交えてポジティブに! おちんちんは“JOYスティック”
―喜びの棒!(笑)すごいです。
やまがたさん:それでね、先ほど女性器の名称について話をしましたが “おまんこ”って私はズバリ言っています。私はおまんこって悪くないと思うんです。だって万(マン)の子(コ)ですよ。ここには万の子のエネルギーがある。そして子宮はパワースポットって呼んでいるんですが、JOYスティックがお万子に入ってパワースポットでビッグバンが起こって赤ちゃんが宿る。
―なるほど…それはなんかすごく良いですね。
やまがたさん:ええ。「JOYスティックありがとう!」と言ってみんなで拝んだりしてね。
(爆笑)
やまがたさん:ユーモアが大切なんですよね。性について語る時には必ず。
大貫さん:本当にそう思います! 眉間にしわをよせて、怖い事のように話すからネガティブなイメージがついてしまうんですよね。
やまがたさん:本当にそう。子宮がパワースポットっていうのはね、卵を宿しているでしょう。神社をパワースポットって言って婚活女子や受験生が行くじゃないですか。でもね、神社のお宮には何が祀られていますか? 御霊ですよね。魂です。同じです、子宮と。女性はみんな自分のカラダにパワースポットを持っているんです。なので、わざわざ神社に行かなくてもね、自分のデリケートゾーンを愛でるために丁寧なケアをして清浄に保ってあげればいいんです。荒れ果てた神社なんて運気が悪そうで行きたくないですよね。同じですよ。荒れ果てたデリケートゾーンにJOYスティックもやってきたいとは思わない(笑)なので、自分の女性器を見るのが怖いなんて言ってないで、しっかり確認をしてケアをしてキレイな状態を保つ。それからね、この神社は一見さんお断りです。常連さんしかこれません(笑)
―最高ですね(笑)
おじさん世代への性教育

大貫さん:大人の男性もアダルトビデオのせいで間違ったセックス観を持ちすぎていると思います。この前おじさんばかりを集めてセックスの話をしたんですけど、みんな本気でアダルトビデオでしていることで女性が感じて悦んでいると思っています。少し乱暴にした方が良いんだろうとか、潮吹きしたらイッテるんだろう、とか、本気でアダルトビデオを再現しようとする。なので全部否定してきました(笑)でもそういうと心の底から驚いているんですよ。本気で女性が良いと思うセックスを知りたかったら女性向けのアダルトビデオを見てくださいって話をしました。
やまがた:いかに女性がセックスにコミュニケーションを求めているかわかるよね。セックスは強引に始まって射精で終わるものじゃないってことがよくわかる。
大貫さん:本当にそうですよね。あと女性は太くて長いおちんちんを望んでいると本気で思っている男性も多いですね。
やまがたさん:そうそう(笑)実は大きさが合わず痛くて夫とセックスしたくないって相談に来る人もいますよ。まったくねえ…間違った男性のセックス観もどうにかしないと。
―大貫さんがされているおじさんへのセックス講座は本当にセックスレス大国日本に必要なものですね。すべての男性が大貫さんのセックス講座に行って欲しい!
大貫さん:皆さん私が話をすると真剣に話を聞いてくださって、その場でメモをとったりして真摯に受け止めてくださって本当に嬉しいなっていつも思います。
―そういう場に来る時点でもう男性として素晴らしいですね。
大貫さん:本当にそう思います。
やまがたさん:夫婦が安心なコミュニケーションと心地よいセックスができていたら、子どもたちにも良い性教育ができると思います。やっぱり根幹は家庭。家庭から始まるんです。三大欲求の性=セックスやセルフプレジャーは隠すものでも恥ずかしい事でもない。歯磨きと同じことです。
―やまがたさんのJOYスティック話に爆笑し、大貫さんのおじさん達へのセックス講座に感心し…おふたりとの対談はいよいよ次回が最終回。妊活と自己肯定感についてです。お楽しみに。※1月17日(木)12時公開予定
文/和氣恵子、撮影/鈴木志江菜

(写真左)助産師・看護師 大貫詩織さん
助産師/思春期保健相談士 神奈川県立保健福祉大学 看護学科卒業。 総合病院産婦人科にて勤務ののち、現在は精神科児童思春期病棟に勤務し入院患者への性教育プログラム立ち上げに従事。 また学校での性教育に関する出張講座や、若者向けの性と命の語り場イベント『イノチカタルサロン』の主催も務める。
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(写真右)助産師・バースセラピストやまがたてるえさん
助産師 、看護師、バースセラピスト、JADP上級心理カウンセラー、NPO法人ちぇぶら 更年期ライフデザインアドバイザー
臨床経験をした後、妊娠出産を経験。産後に地域の育児支援活動にかかわりながら、BLOGでのライフワークを発信。BLOGをきっかけに5冊の本を出版。等身大の母から伝える「いのち こころ からだ」をテーマとした講演、保護者向け講演、お話し会や、雑誌などメディアにも取り上げられている。「心が軽くなる」育児のアドバイスが好評。子育て学講座講師、産前産後ケアに携わり、セラピストとしての個別カウンセリングなども行っている。
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