【#FocusOn】卵子凍結をおすすめしている理由  産婦人科専門医 船曳美也子さんインタビュー<第二回>

【#FocusOn】卵子凍結をおすすめしている理由  産婦人科専門医 船曳美也子さんインタビュー<第二回>

『あなたも知らない女のカラダ 希望を叶える性の話』著者 産婦人科専門医 船曳美也子さん。この本を読むといかに自分が自分のカラダについて知らないか、ということがよく分かります。第一回目のインタビューで船曳さんは将来子どもが欲しいと思っているなら一刻も早い卵子凍結をすすめる、とお話されました。それはいったいなぜなのか? インタビュー二回目です。


保険をかける気持ちでまずは卵子凍結

前回の記事はこちらから

―パートナーがいてもいなくても妊娠を将来望むなら一刻も早い卵子凍結を先生がおすすめするのはなぜでしょうか?

先ほども話しましたが閉経の10年前くらいから自然妊娠をするのは難しいと考えられています。ということはアラフォー女性は自然妊娠をするのはかなり大変なわけです。でも今はアラフォーで結婚する方も多いですよね。ご自身のキャリアを積まれて社会的に評価も得て、ようやく結婚に踏み切れた…という女性も多いと思うんです。そんな素晴らしい女性たちの卵子が老化していて妊娠しづらい状態になっているというのはとても残念なことです。

なので、できれば20代や30代前半にパートナーがいてもいなくても卵子凍結をして欲しいと思っています。元気な卵子をいくつか凍結しておけば、パートナーができたのが40代だったとしてもお相手に「元気な卵子を凍結しているから自然妊娠が無理でも赤ちゃんはできるよ」って話すことができます。

―なるほど! 保険をかけるようなものですね。

ええ。実際に婚活中だという女性たちが卵子凍結をしにきます。非常に合理的ですよね。それに結婚への見方が変わって早く結婚できる気もします。

―どういうことでしょうか?

愛があって子どもが生まれる、というシンデレラ的な見解から現実を見られるようになるのではないでしょうか。

―なるほど! シンデレラ願望に囚われて恋愛をして結婚をしなきゃいけないという呪縛に苦しんでいる女性もいらっしゃるでしょうから、そういったものを断ち切るためにもカラダの老化の事実を知ること、そして晩婚や不妊の可能性に備えて卵子凍結をしておくという考え方はいいですね。

ええ。凍結していても、結果的に自然妊娠された場合は、それはそれでいいわけですし。

―本当にそうですね。現代は結婚と妊娠の順番が逆になるのも当たり前になってきましたが、 “将来子供が欲しいと思っているならまずは若いうちに卵子凍結”という情報を多くの女性に知ってもらいたいですね。女性自身の選択の幅も広がるし、年齢のリミットからくる焦燥感を感じながら日々過ごさなくても良くなると思います。

ええ。女性は自分たちのタイムリミットをひしひしと感じながら生きていますよね。でも本当はそうじゃない、閉経したって女性は女性です。でも、このクリニックにいらっしゃる妊娠を希望される女性たちの中にはそうは思えず妊娠できない自分を女性として欠陥がある、などと感じている方もいらっしゃいます。それはとても悲しいことです。女性のカラダがどんな仕組みになっていて今の最新医療で妊娠についてどんなサポートができるのか、ということを正しく知ってもらうことでそういった悲しい思いをする方々を一人でも多く救うことができると思っています。

―素晴らしいですね。それこそ真の女性の自由に繋がっている気がします。凍結した卵子で妊娠・出産しようと思うと体外受精になるのですよね?

そうです。卵子がもつ妊娠力は32歳頃から減少しはじめます。37歳頃には減少速度は2倍に。45歳を超えるともうほとんどないと言えるかもしれません。なので、一刻も早く若い卵子を凍結してほしいんです。40代の卵子で体外受精に成功する確率は15%だと言われています。45歳を過ぎると半分が流産してしまいます。

―そうなんですか…やはり受精するのは卵子の力が大きいのでしょうか?

もちろん妊娠するには男性と女性、半分ずつ影響があります。ですが、こと受精卵の妊娠力に関して言えば9割が卵子の力です。

―卵子を元気にする、若返りさせる方法は何かないんでしょうか?

残念ながら若返りの方法は見つかっていません。ですが、抗酸化力を高めることでなるべく老化させないようにすることはできます。適正体重を守って、良質な睡眠をとり、ストレスフリーな状態にして、緑黄色野菜をちゃんと食べる。…でも現代女性にとってストレスフリーな状態をキープするなんて至難の業ですよね。

―そう思います。しかし、良質な睡眠は妊娠力にも関わってくるんですね。つくづく睡眠は大切ですね。

そうなんです。睡眠中に分泌される“成長ホルモン”は卵子にとってとても大切なものです。

男性不妊の可能性も。パートナーと目線を合わせて不妊治療に取り組んで

―不妊治療の現場についてお話をお伺いしたいのですが、妻は不妊治療に積極的だけど夫がそうでもなくて悩んでいる、というような話をよく聞きます。先生は現場で見ていらしてそういうことを感じたことはありますか?

そうですね…不妊治療の一連の流れの中で精子の検査をするんですが、抵抗感があるという男性もいらっしゃいます。自分に責任があったらどうしよう、と思われるかたもいらっしゃいます。ですが、男性が不妊の原因になることも半分くらいありますが、治療法は確立しています。なので、夫婦で話し合って納得して不妊治療にあたって欲しいなと思います。

―不妊治療が上手くいかないケースというのはどういった場合が考えられるのでしょうか?

いろいろなケースがありますが、妊娠するかどうかは7割が染色体の問題です。不妊治療って先が見えないんですよね。みなさんその苦しさに精神的に参ってしまって嫌になってしまう。必要以上に落ち込みすぎてしまうんです。けれど不妊治療の道筋って決まっています。

「この段階でこの治療を選択した、ダメだった、じゃあ次はこの段階」って選択して決めてトライしていくことの繰り返し
なんです。なので感情のアップダウンになるべく振り回されることなく淡々と進めて行って欲しいと思います。とても難しいことではありますが…辛くなったらその気持ちを主治医の先生などに話してください。そういうコミュニケーションが取れるクリニックにぜひ行っていただきたいです。

―不妊治療に苦しんでいる人が周りにいる場合、どんな風に接してあげたらいいでしょうか?

ご本人が望むように寄り添ってあげて欲しいと思います。「ぜったい大丈夫だよ!」などやたら楽観的な発言をすると反発感が出てしまうと思うので、ただ話を聞いてあげる。ほっといて欲しいと思っているなと感じるならそっとしておいてあげる。その人の気持ちはその人にしかわからないし、もしかしたらご本人も自分がどういう気持ちなのかどうしたいのか分からないかもしれません。

―不妊に関する情報を教えてあげるのはやめた方がいいのでしょうか? こういう治療法があるよ、とかこういう話をテレビでしていたよ、とか。

それは良いと思います。自分でリサーチしているとどうしても偏ってしまいますし、視野も狭くなってしまいます。色々な意見や考え方、治療法があるということを知ることはとても良いと思います。

―卵子の老化による卵子力が減少することで受精が難しくなる…そう聞いて今すぐ卵子凍結しよう! と思われた方もいるかもしれません。女性が自由に生きるための術が現代医療のなかにあるのだとしたらそれを有効に活用することもひとつの選択肢です。最終回は船曳先生が考える“子どもを持つ”ということについてです。※2月23日(土)12時公開予定



船曳美也子さん
日本生殖医学会生殖医療専門医、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医。1983年神戸大学文学部心理学科を卒業後、医師を志し、1991年兵庫医科大学医学部を卒業。兵庫医科大学病院、西宮市立中央病院、パルモア病院を経て、医療法人オーク会にて不妊治療を専門に診療にあたっている。自らも体外受精を行い、43歳で初めての妊娠、出産という経験を持つ。著書に、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する「女性の人生ゲームで勝つ方法」(主婦の友社)、女性の身体について正しい知識を知ってもらえるよう執筆した「あなたも知らない女のカラダ―希望を叶える性の話」(講談社)がある。2014年、健康な女性の凍結卵子による妊娠に成功。出産に至ったのは国内初とされる。(出産は2015年)

あなたも知らない女のカラダ 希望を叶える性の話

¥ 1,296

自分のカラダ、わかっていますか?生理はなぜ起こるのか?出産の適齢期とは?基礎体温の正しいよみ方を知っていますか?女性は“産む”性なのか?基礎知識から最新医療まであなたらしく生きるための「性」の話。



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