【#FocusOn】“ゆるむ”ことは“ゆるす”こと『女がめざめる暮らし方』著者、大葉ナナコさんインタビュー<第二回> | 大人のワタシを楽しむメディア
【#FocusOn】“ゆるむ”ことは“ゆるす”こと『女がめざめる暮らし方』著者、大葉ナナコさんインタビュー<第二回>

【#FocusOn】“ゆるむ”ことは“ゆるす”こと『女がめざめる暮らし方』著者、大葉ナナコさんインタビュー<第二回>

幸せの秘訣「ゆるむ」ためには、自分と向き合って自分を「ゆるす」ことが大切です。第二回のインタビューではそのためのコツをお話いただきました。数多くの妊娠、出産に関する本を出版され、妊娠前、妊娠中、産後の多くの女性を支えてきた大葉ナナコさんに、著書である『女がめざめる暮らし方』(サンマーク出版)を基にお話を伺いました。


“ゆるせない”という思いはまだその出来事が未完了のままだから

――現代の女性たちは“ゆるむ”ことが難しいのではないかと感じるのですが…

私は“ゆるむ”ことは“ゆるす”ことだと思っています。みなさんもちろん“ゆるせない”こともたくさんあると思います。その“ゆるせない”ことは、未完了で伝えそびれていること、伝えてもらいそびれていること、助けてもらいそびれていることではないかなあと思うんです。

――どういうことでしょうか?

私はカウンセラーの資格もいくつかもっているのですが、“トラウマ(心的外傷)”ってありますよね。日々、多くの人とコミュニケーションをとる中で私たちには小さなトラウマがたくさん生まれます。トラウマのなかでも自分自身でなぜ傷を受けたのかわからない「未完了」なものは、今度また同じ出来事が起こりそうな時に、フラッシュバックして硬直してカラダが反応します。高所恐怖症などはまさにそうで、以前、高いところで怖い経験をしたことがあると、高いところに登れなくなったりします。

ちょっとした小さなトラウマは常に発生します。トラウマができない人生はありません。その中で、“ゆるめない”ということは、“ゆるせない”のかもしれません。本当はゆるしてほしいのかもしれないし、ゆるしてあげたいと思っているのかもしれないけれど、色々な事情があって“ゆるせない”ことはたくさんありますよね。

“ゆるす”時にもゆるし方があると思っています。「謝ったらゆるしてあげるわよ」というようにマウントになってしまっては本質的な改善にはならないんですよね。お互いゆるみあう…というか、お互いゆるしあうというか…“ゆるむ”ことは自分自身とトラウマの相手を“ゆるす”ことかなと思います。

――なかなか難しいことですよね…深いトラウマを抱えてしまうと、なかなかすぐに“ゆるす”ことはできない…だけど、それは“ゆるめる”機会を奪ってしまうことにもなってしまう…。ちょっと論点が変わりますが、“ゆるす”ことはダイバーシティにも繋がることだと思いますか? 違いを受け入れるということは自分を“ゆるす”ことにも繋がるというか…。

そうですね…他の人と自分を比較しているかぎり、自分をゆるしてゆるめる日は来ないんじゃないかとは思います。自分とまったく同じ人に会ったことがある方はいないと思いますが、自分という人間は文字通り“世界にたったひとり”なんです。同じ人は一人としていません。“自分”と“他の人”は違って当たり前なんです。比較してもしょうがないんですよね。

自分がコミュニケーションのなかで何かに反応した時に「なんで私はこういう反応をしたんだろう? あ、それは前に同じようなケースがあったときと似ているからだ。じゃあ、あの時、私はどうすればよかったんだろう」と、自分の反応を分析してみてみるのも良いと思います。私も日々小さなトラウマを抱えていて「なんでこんな感情を抱えているんだろう」って、自分をゆるめるために、自分の反応を分析しているんです。自分をゆるめるというのは自分の真意を大切にすることなんですよね。

――自分と向き合うことが大切だということでしょうか?

そうですね。そして未完了な出来事が残っていると安心してゆるめないので、ちゃんと完了していくことが大切だなって思います。トラウマを通して自分に向き合ってみると仕方がないこともいっぱいあるんですが、仕方がないことがあっても全然大丈夫なんです。自分に向き合い、反応した理由がわかっていれば、次に同じトラウマを受けたときには理由がわかっていますので。

自分のことを真に幸せにできるのは自分自身だけ!

ゆるめないと悩んでいる方は、男性性をいかんなく発揮できる、ゆるまなくていい場面で心置きなくゆるまないでいればいいと思います。

交感神経と副交感神経と言う言葉をきいたことありますか? 緊張していたり、集中していたり、活動しているときには交感神経が優位になり、リラックスしているときには副交感神経が優位になります。“最短時間で最大効果”をルールとする社会では交感神経が優位の場面がたくさんあるので、バランスが大切なんですよね。オンとオフですね。「常にゆるみましょう」ということではなく、「1日の終わりにはゆるんであげましょう」。たった一度の自分の人生を愛おしむためにも。自分は地球上にひとりで、自分のことを本当に幸せにできるのは自分だけです。誰かに幸せにしてもらおうと思っても、真の意味で自分を幸せにしてくれる“誰か”なんていないんです。

――本当にそうですね。誰かに…特に女性は男性に幸せにしてもらおうという考え方がメディアにも溢れていますね。

誰かに幸せにしてもらうと言うのは自己決定の放棄だと思います。自分をいちばん幸せにできるのは自分です。「ゆるんでいいんだ、これが私なんだ」と自分をゆるしてあげてください。ゆるめないのだとしたら、“ゆるしてもらえない誰か”が自分の中にいるのだと思います。もしかしたら“自分の母親”だったり、“母親にずっと比較対象”にされてきた“誰か”だったり。

自己決定、自己受容に対しての阻害要因を深く聞いていくと、小さな時に母親に言われた呪いの言葉のようなものが脳の中にあることが多くあります。それを手放していかなければいけない。手放す努力をし続ける…それが人生なのかもしれません。

母親との関係を再構築することも大切

育児期の女性が育児以外の社会的役割を担わない社会では、子どもの成長が自分の人生の成績表になってしまいます。そうなると必要以上に子どもの行動、思考、人生設計に干渉してしまうんですね。子育ての結果で自分のアイデンティティを確立しなければいけなくなってしまうからです。これはとても悲しいことです。母親が子どもに精神的に依存している状態になってしまうからです。

小さな乳幼児が養育者に依存するとか、専業育児期は夫に経済的な依存をするなど、健全な依存関係ではなく、不健全な依存関係で過剰な母親の期待を背負って育った人は、ゆるみづらいのかもしれないとも思います。

例えば、「恋愛するなら、結婚するなら、母が気に入る人を選ばなければいけない」と、自分のことなのに主体的に考えられなくなってしまったり、逆にいつまでも母親に反抗し続けてしまう、というようなこともあるかもしれませんね。

――確かにそういうケースもあるかもしれませんね。

ひとりひとりが自分で自己決定、自己受容していく人生が自分の人生を生きる、ということなのだと思います。

そして、女性が女性である自分そのままを自己受容できるようになると、他者も自然と受容することができるようになります。もしも自分の母親に受容されていなかったと感じている人は受容され直せばいいと思います。自分の母親とぶつかったことがない人はぶつかった方がいいんです。性質の違う2人の意見が相違するのは自然です。子ども時代にどのように受容してもらいたかったのか考えて、ぶつかっていってみてください。

――それが自分自身を受け入れること、女性性を受け入れることに繋がるんですね。

繋がると思います! 女性の一番身近なモデル像は母親ですので、母親が自分の人生設計に過剰に介入してきたり、不健全な依存をしてきたりすると自分の女性性を否定することに繋がってしまいます。この国の女性の生きづらさは、世代間の負の連鎖かもしれないと思います。自立しそびれてしまった母親のケアで苦しんでいる人が多いのではないでしょうか。「老後はよろしくね」などと言われてショックを受けながらも「そういうものだ」と思って自分で自分の首を絞めてしまっている人もいるでしょう。「母のことを考えて結婚をしました」という女性たちが「誰のための結婚だったんだろう?」と改めて感じて晩年に離婚するということがあるように。

もしも、ご自身が自分の母親と不健全な依存関係にあると思うのであれば、まずは自分自身が経済的にも精神的にも自立すること。その上で母親と向き合って、健全な依存関係を再構築する努力をしてみてはどうでしょうか。

――自分と向き合うこと、母親との関係を見直すことが女性性を受け入れ、ゆるむことに繋がるという大葉ナナコさん。次回は5人の子育ての経験から親子の関係について教えていただきました。最終回につづきます。※3月8日(金)

文/北 奈央子、撮影/鈴木 志江菜

大葉ナナコ/おおばななこ
公益社団法人 誕生学協会代表。株式会社バースセンス研究所代表。筑波大学大学院修了・保健学修士

1997年より妊娠前・妊娠中・産後の各世代への生命と性の授業を開発。研修やスクール、個人クラスを展開。官僚や政治家、経営者、芸能界にもクライアント多数。
次世代向けには誕生学プログラムを開発し、認定講師らと小中学校へ年間約800校に授業を届け、少年院でも採用されている。
日本初、民間で行政の両親学級開発など、誕生と出産教育の専門家として公益事業に従事。
近年はストレスマネジメントやオキシトシン研究者として「家族タッチセラピー」を開発・普及中。
2010年公開のドキュメンタリー映画「うまれる」製作メンバー。
三越伊勢丹マタニティベビーコンシェルジュ研修統括歴12年。
環境大臣公認アンバサダーでもあり「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトや、環境省グッドライフアワード審査委員も7年目。「人のいのち、地球のいのち」学校プロジェクトほか、マザーアースへの想いをチームで!とSDGs事業を官民多連携して活動を展開中。著書共訳書26冊

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