水谷さるころさんインタビュー<後半> 人との違いを恐れず自分らしい生き方を【#FocusOn】 | 大人のワタシを楽しむメディア
水谷さるころさんインタビュー<後半> 人との違いを恐れず自分らしい生き方を【#FocusOn】

水谷さるころさんインタビュー<後半> 人との違いを恐れず自分らしい生き方を【#FocusOn】

水谷さるころさんへのインタビュー後半!イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナーのさるころさんの著書『結婚さえできればいいと思っていたけれど』(幻冬舎)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)はご自身の結婚・離婚・事実婚の経験を基に描かれたコミックエッセイです。インタビューではさるころさんの結婚観、家族感、人生観を伺いました。


2度目の結婚は“事実婚”というカタチを選択した水谷さるころさん。そこには、一度目の結婚の時の反省と自分がどう生きていきたいのか、という想いがありました。ここ数年で事実婚というワードはメディアでも多く取り上げられるようになってきました。まだまだ認知度は低いのも事実。

そんな折、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)を出版し、夫であるノダDと息子さんとの生活を楽しく紹介してくれた水谷さるころさん。ご自身の経験から考える結婚や夫婦の在り方についてお話をうかがいました。インタビュー後半です。

お互いにパートナーに求めるものを話し合ったら「事実婚がいいよね」

前回の記事はこちらから

――現在、夫であるノダDさんと事実婚でお子さんもいらっしゃるさるころさんですが、ノダDさんとはお仕事で知り合ったんですよね。

そうなんです。仕事で世界一周する番組を制作したのが縁で。ノダDは離婚にかなりのダメージを受けていましたね。私は私で、自分の「見る目」が全く信用できなくなっていたので、ノダDと付き合おうとなるまではちょっと時間がかかりました。ノダDは仕事中に「ちょっとどうなの」と思うこともあったし、選択肢の1人ではあったけど、焦って結婚して失敗したので同じ過ちはすまいとかなり慎重になっていました。

――さるころさんは離婚したことを周囲の人に公表したんですか?

ええ。ご祝儀をもらったりしたのに離婚しちゃって申し訳ない…という思いがあって、当時やっていたmixiで「離婚しました! お祝いして頂いたのにすみません!」って。そうしたらお誘いが色々…マンガにも描きましたが30歳前半の離婚した女って「ハードルが低い」みたいなんです。なので本当の“モテ”とは違うと思います。

――なるほど…その中でも特にノダDはアピールが強かった。

マンガにも描きましたが「溺れてる時に、目の前に丸太が流れてきた」って感じでしたね…。離婚後、一人きりの部屋にいると死にたくなっちゃうくらいだったらしいので、とりあえず「メンタルがヤバイときは空手がオススメ」と同じ道場で空手を始めたんですよね。

そしたら一生懸命取り組むようになったんです。40歳過ぎると男性は特に人の話を素直に聞けなくなる人が多いじゃないですか。ですが、ノダDは素直だった!(笑) それで、ちょっと見る目が変わって。空手をしている人って空手に真摯に向き合っている人のことを無条件に尊敬するところがあるんです。それに、私は仕事の関係ではノダDから仕事をもらう立場だったので、ノダDの方が“上”で私が“下”という感じだったのですが、空手だと私は黒帯でノダDは初心者なので上限関係がまったく逆になったのも良かったんだと思います。

――見る目が変わってすぐにお付き合いが始まったんですか?

そこはなんか紆余曲折あって(笑) この人で大丈夫と思えるまでに、3年くらいかかりました。一緒に暮らそうとノダDは言ってくれてたんですけど、「まあそのうちに…」という感じで。で、一緒に暮らす前に一度しっかりパートナーとして相手に何を望むのかということを話合いました。そうしたら、「事実婚がいいよね」ってなったんです。

――どういうことでしょうか?

一度目の結婚の反省と離婚の大変さを考えた時に名字を変えることはしたくなかったんです。ノダDと私は家を買うなどの共有財産を持つ予定もなかったから、お互いの希望をすり合わせた結果、法律婚にする意味がなかった。

私たちの価値観を押し付けるつもりはない。だから世間の価値観も押し付けないでほしい

――法律に守られない、という不安はありませんでしたか?

それね、良く言われるんですけど、“法律は事実を重んじる”んです。法律婚していたからって、ずっと別居していたら離婚しやすくなります。けれど事実として夫婦生活をしていたら、ちゃんと制度として夫婦として扱ってくれるように世の中はなっているんです。事実婚に対してはまだまだ偏見があって、よく、「事実婚だと浮気されても慰謝料がもらえない」とか言われるんですが慰謝料とかは民事だし裁判もできます。事実として夫婦関係があるのであれば、ちゃんと家裁に行けば「内縁」として扱ってくれます。

――そうなんですね!

そもそもですけど、法律婚をしていたって心が通っていて仲良くなかったら意味がない、ということを一度目の結婚で私は嫌と言うほど感じました。信頼し合う夫婦のカタチは法律婚したからって築けるものではない。それに法律婚をすると「そう簡単に別れられないだろう」と、関係が雑になったり、逆に我慢しすぎたりみたいなことがお互い起きがちだと思うんです。そこにいくと事実婚はお互いが歩み寄って理解し合おうと努力しなければ、あっという間に終わってしまいます。それだけお互いが一緒にいたい、共に歩みたいっていう想いが強いともいえるんじゃないでしょうか。

――確かに、そうですね。

もちろん、どっちが良くてどっちが悪いとか、誰にも押し付けるつもりはありません。ただ私とノダDは互いの一度目の結婚生活を踏まえて、そういう結論を出したというだけです。私たちも押し付けるつもりはないから、価値観が違う人がその人にとっての「正しさ」を私たちに押し付けないで欲しいと思います。

――出演されたNHKのあさイチの「いろいろな夫婦のカタチ」特集の中でも、事実婚に否定的な意見もありましたね。

最近、否定的に思われてもいいかなと思うようになりました。だって、事実婚に否定的な人って「ちゃんとした結婚をしなさい!」という考えの人ですよね。私は自分の考える一番快適な結婚がしたいので、否定的というのはある意味「価値観が違う」ということがわかってもらえていると言えるので(笑)

極端な話をすれば法律的に結婚をしていても、それが戸籍ロンダリングや外国人の滞在許可のための“偽装結婚”だったりすれば法律で罰せられます。「結婚」において「事実」はとても重要なのです。事実婚の私たちは何も問題はありません。だから自分の価値観や常識を相手に押し付けることは意味がないと思います。

――どちらが正しいということはないし、事実婚が責められる筋合いはない。それどころか法律婚していても仮面夫婦や家庭内別居はどうなる…と。

ええ。“虚実”って言葉がありますが、それって空手ですごく大事な考え方で。空手をやっていると見掛け倒しで実は全然強くない“虚(きょ)”の人と、実際にあたったらメチャクチャ痛そうな“実(じつ)”の人を見分けることができるようになるんです。私は自分の人生を“実”で歩んでいきたいと思っています。世間体を気にして“虚”で生きることが無理なタイプなので。

――“虚”にまみれて生きている人たちもたくさんいますね。SNSの普及によって余計にそう人が増えているのかもしれません。

人からどう見えるか、を大事にしていると最終的に自分がいなくなっちゃうんですよね。私は死ぬ前に「私らしい、いい人生だったなあ」と思いたいです。

これからの時代、楽しみながらサバイブしていこう!

――さるころさんは今後どんな“実”を築いていきたいですか?

まずは子どもを自立させることでしょうか。今は、4歳でものすごく可愛いのですが、子どもも私も依存心をお互い持たないようにしたいと思っています。

将来的には年に2回くらい親を思い出すような子になってくれればいいなと思ってます(笑) 親は絶対に先に死んでしまいますからね。大人になったら精神的に自立していてほしいです。あ、子どもはノダDの名字です。事実婚のままだと私の苗字になってしまうので、息子を妊娠した時に一時的に法律婚して出産後、離婚しました。離婚するときに、戸籍と親権者を選べるので戸籍は父親、親権は母親にわけました。我が家は母子別姓です。

――そこまでしてノダDさんの名字にしたかったのはなぜですか?


ファミリーネームとしては「野田」でいいと思っていたからです。あと私の両親が私の苗字になることを喜ばなくて。事実婚だと妻の親が「内孫ができる」って喜ぶケースが多いらしいんですけどね(笑) それと、ノダDには前の奥さんとの間に子どもが2人いるんですけど、我が家は交流があります。それでマイル息子は一人っ子になる可能性もあるし、「仲間は多い方がいいな!」と思ってチーム・ノダに入れました(笑)

――ノダDさんと前の奥さんとの間のお子さんと仲良しなのは素敵ですね。

元々、無理に仲良くする必要はないと思ってて、合わなければ無理に付き合わなければいいと思っていました。でも、気が合うどうかは会わないとわからないですよね。自分の父親が再婚するなら“蚊帳の外”にされることって“無視されている”ことと同じで、不信感しかないじゃないですか。だからノダDには再婚前に全部子どもたちに話してもらって、ちゃんと紹介してもらいました。結婚と同じで「後妻」とか「前妻の子」とか枠で考えず「実」を大事にしたい。ここで言う「実」って「気が合う」とか信頼関係だと思うので、目の前にいる本人を尊重したいと思っています。彼らは弟のこともすごく可愛がってくれています。

――素敵な関係ですね。今後ノダDさんとどんな関係でいたいですか?

各々独立して信頼し合う関係を続けたいです。「法律婚していないと将来介護が必要になった時に介護してもらえないかもしれないから不安」とか言う人がいますが、法律婚しているからって介護してもらえるとは限りませんよね? 介護状態になった途端に逃げられちゃうかもしれない。

――現に夫に介護が必要になった時に見捨てる妻が多いそうです。

ですよね。私は今ノダDに何かあったら介護します。だって彼が大事だから。大事じゃない人のお世話とかできるほど、できた人間じゃないので…。

――法律婚とか事実婚とか関係ないですね。

そうです全然関係ない。“実”のある生活をして信頼し合っている個々がしていれば、それが家族だと思います。

――将来どうありたいとかありますか?

ノダDの方が8歳年上なので先にいなくなると思うんですね(笑)  なので私はそうなったら年下の彼氏をつくって看取ってもらいたいと思っています(笑)

――パワフル!(笑)

はい! 最初の結婚生活では頑張って「ちゃんとしたい!」って羊の皮を被ろうと努力したんですけど諦めました。これからの時代なにがあるかわからない。その時に常識に囚われて、「みんながこうしているから」とか思ってたら、ただ不安で怖いだけだと思うんです。夫に先立たれたら、1人寂しく子どもにすがって…みたいな未来よりも「未婚時代なんだから、自分が80歳くらいに70代で余ってる男の人はいるだろう」って考えたほうが未来が楽しみになるじゃないですか。「男は若い女が好き」とか「老人は恋愛しない」とか今までの「常識」は捨てちゃって、楽しく生きるために「じゃあどうしようか」ってサバイブしていく考え方をしていきたいですね。

――終始、“誰かの言葉”ではなく“実”のある自分の考えを言葉にして伝えてくれたさるころさん。さるころさんが仰る通り、これからの時代は楽しんでサバイブしたもの勝ち! 世間の常識に囚われて、自分の本心を押し込めて“虚”に生きるか、自分を見つめ“実”に生きるか。そんなことを問われるのがまさにアラフォーなのかもしれません。さるころさんの著書『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)ぜひ読んでみてください。

文/和氣 恵子、撮影/鈴木 志江菜



水谷さるころさん
1976年1月31日、千葉県柏市生まれ。女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組「行くぞ!30日間世界一周」に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周!』(全3巻)(イースト・プレス)としてマンガ化される。その他の著作に旅マンガ『35日間世界一周!!』(全5巻)『世界ボンクラ2人旅!』(全2巻)などがある。2016年に自身の結婚、離婚、事実婚で再婚したアラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。趣味は空手。好きな食べ物は「鶏肉+ゴハン」。

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人生に、「結婚」は必ずしも必要じゃないのかも! ? 結婚→離婚→事実婚を経験した著者による、「結婚とは何か」を考える自意識系コミックエッセイ。 「30歳までにぜったい結婚したい! しないと! 」と思って駆け込み三十路婚をした水谷さるころ。 しかし、結婚後の生活は想像していたような素敵ライフには程遠く、そもそも相手が違っていたのでは……と気づき始め、離婚に踏み切ることに。 ただ結婚しただけじゃダメなんだ…自分がどういう人生を送りたいのか考えないと…と離婚反省会を繰り返した後、自分なりの幸せ(=子どもがいるバツ一男性との事実婚)に至るまでの道のりを赤裸々に描いた実録漫画です。

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