自分の体は自分のもの 膣のセルフケアで自分を取り戻す たつのゆりこさんインタビュー<最終回>【#FocusOn】 | 大人のワタシを楽しむメディア
自分の体は自分のもの 膣のセルフケアで自分を取り戻す たつのゆりこさんインタビュー<最終回>【#FocusOn】

自分の体は自分のもの 膣のセルフケアで自分を取り戻す たつのゆりこさんインタビュー<最終回>【#FocusOn】

膣のセルフケアが生きる活力を高めてくれる。いつも健康で楽しく暮らしたいのであれば、自分の膣の状態も、顔と同じくらい気にかけてあげること。膣が潤っていると、穏やかに前向きに生きられます。膣のケアについてまとめ大反響をよんだ『ちつのトリセツ』(径書房)を監修した助産師たつのゆりこさんが語る膣ケアの重要性とは。インタビュー最終回です。


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助産師であり、鍼灸師であり、アーユルヴェーダも勉強されてきた、たつのゆりこさん。自分の膣のお手入れがもっと気軽に出来たら、自分の体が本当に求めている事にも向きあってあげられるはず、といいます。

自分自身を愛おしく思う気持ちも湧き上がってきます。三回に渡ってお送りしてきた膣ケアのお話、いよいよ最終回です。

性交痛に悩む女性たち

私のところには、性交痛の悩みで相談にお越しになる方が意外に多いんです。パートナーがいない方でもいつかその時が来た時に躊躇しなくても大丈夫なように、とお越しになる方もいますよ。性交痛に関しては、実に様々な原因や理由がありますし、意味深いです。多くの方はクリニックに行って医師に相談することではないと思っていたり、医師に相談してみたけど改善されないので、助産師さんなら話を聞いてくれるだろうと私のところに来院されるようです。本当の原因を探すのには時間がかかります。自分の体なのに見えない部分の痛みですから。人によっては内臓に響くような痛みも伴いますから不安ですよね。私の姿勢としては、とにかく寄り添って一緒に原因と対策を考えるということです。何か病気が隠れている場合もありますので、状態によっては、やはり医療機関の受診を勧める時もあります。

――たしかに性交痛の相談場所って思いつかないですね。我慢しているか、あきらめている方が多そうです。ちなみに性交痛を改善する方法は何かあるのでしょうか?

「ちつのトリセツ」(径書房)を読んで、書いてある内容を自分なりに実践していたら、性交痛が良くなりましたと教えてくださる方々がいます。「具体的にどういう実践をしたのですか?」と聞いてみると、「お風呂前後で、乾燥しているところにオイルを塗りこむようにしました」とのこと。私が把握している限りでは、特に下半身が冷えていて、肌の乾燥が強く、筋肉が筋張って、背中が全体的に凝っている方が目立ちます。お風呂の前後でオイルマッサージをすること自体が、自分の体が求めている事に意識を向けることになりますので、いいきっかけになって良いのかと思います。セックスの前にケアすると全然違うからと、せっせとオイルケアしていたらもう諦めていたのにタイミングなのか妊娠出来たという方もいました。特にお風呂前にオイルを塗って入ると、湯船での温まり方やお肌の柔らかさも違いますね。リラックスもできるので、いろいろな相乗効果が得られるのでしょうか。

――たしかに「ちつのトリセツ」でもお風呂でのオイルマッサージが紹介されていましたね。性交痛と一口にいっても人それぞれのように思いますが、効果があると思っていいのでしょうか?

もちろん個人差はあると思いますが、オイルマッサージは、オイルが浸透して細胞レベルで柔らかくなるので、効果があると私は感じています。性交痛の原因は本当に様々ですが、「膣の入口周辺の痛み」は、腎臓が疲れている場合が多いという印象を持っています。東洋医学的な視点ですが、そういうケースだと夜更かしの方が多いです。眠りの質も落ちているからだと思います。慢性疲労状態ですから、性的興奮がなかなかおこらず膣が濡れないのではないでしょうか。そうなってしまうと挿入時にゼリーを塗るだけでは難しいですよね。「膣の内側の痛み」を訴える場合は、膣壁がこっています。そういう場合はお腹も硬い方が多いです。腹部に手術の痕がある場合は尚更です。きれいに縫ってはあるのですが、膣側からの傷跡が年齢も重なり弾力性がなくなっていることがあります。出産時に子宮口周辺を外科的に処置した部分が硬くなっていることもあります。そういう場合はお腹のマッサージも併用します。硬くなった部分に指にオイルをつけて優しく腹壁から温めながら触っていると、ふっと柔らかくなります。

――お腹の手術の痕というと、帝王切開や子宮内膜症、子宮筋腫の手術などをされた女性も多いですよね。私も帝王切開でしたのでお腹に手術の痕があります。それ自体は痛くないですが、たしかに手術の痕のまわりは組織の動きが他の場所と違うことは感じます。

そうなんですよね。でも、このケアは自分ではなかなか難しいですね。膣内に使えるアプリケーター式のジェルを取り扱っているブランドもありますが(YESなど)、日本では知る人ぞ知るブランドでなかなか手に入らないですよね。セルフケアが難しくても、クライアントさんからは、性交痛の一因が分かっただけでも安心した、といわれます。お腹の手術後のセルフケアとして、傷周辺下の組織も常に柔らかくなるように、オイルマッサージしたり、温湿布をしたりして、常に血流を良くすることを日常で心がけておくと、膣の中からマッサージしなくても大丈夫でしょう。

些細な傷跡でも硬くならないように日ごろからお手入れしておきましょう。そうしないと腹部のいろいろな緊張は膣壁の柔軟さにも影響しますので、年齢を重ねた際に厄介ですよ。私もクライアントさんのお腹と膣壁を触って、こんなに関係しているのだと、気がつきました。

――そうなんですね! 私も今日からお腹の傷痕のセルフケアをはじめます!

ぜひやってみてください! そして、セルフケアもですが、パートナーとのコミュニケーションももちろん大切ですよね。セックスは本来お互いのエネルギーの交流ですから、お互いに撫でてさすっているだけでも元気が湧きあがってくるはずです。特に冷えていて乾燥がある時は、気がめぐりません。肌もオイルで潤わしてからの方が、肌の密着度も増し、体温も上がります、性的興奮も起こりやすくなると思います。パートナーの睾丸周辺をマッサージしてあげているという方もいらっしゃいます。そうすると男性器の持続力が違うらしいです。なので、女性に男性器のマッサージのやり方を指導することもあります。「助産師さんから教えてもらった。」というとやりやすいらしいのです。そうでないと誰に教えてもらったのだろうと疑われるそうです。なんだか複雑な気がしますがね。それで女性達の笑顔が増えるのでしたら、社会にとってもいいことですよね。

――そうですね。忙しくてちゃんとコミュニケーションが取れていない方が多そうです。忙しい毎日でも、自分の身体のセルフケア、パートナーとのコミュニケーションのために時間と心の余裕を持ちたいです。

ひとりで悩まないで

女性達が集まって、お茶を飲みながら性の悩みも話し合える場が、もっと増えたらいいな、と感じています。みんなもっと自分の性の悩みを聞いてほしいのです。ただただ語りたいのです。悩みをみんなと共有できる場が出来たら、自分の事も客観視できるようになるでしょうし。以前、講演会が終わった後、ご年配の女性に声をかけていただきました。「日本人はもっと自分の性の悩みを話せる場が必要ですよ。悩みがちょっとでも解放できると、もっと明るい表情になるのにね」仰っていました。海外にお住まいの方でした。落ち着きがあって、姿勢もまっすぐで、堂々と笑顔でお話してくださいました。

――そうですね。みなさん話す場がなくて、ひとりで抱えているんでしょうね。

悩んでいることは、職種関係なくみんな一緒なんです。私でさえ、初めて膣トレの目的で膣内に膣トレ用のグッズを入れた翌朝、ちょっとだけ薄く出血しました。「癌かもしれない」と急に不安になって、同業者に電話しました。「ああ、久しぶりだったんでしょ。使ってないから弱くなっているのよ。」と言われて我に返った始末です(笑) 「そうか、そういう年代になったんだ」と改めて思いました。念のため婦人科検診は早めに行きました。「順調に(年相応に)子宮は委縮していますよ」とにこにこ笑顔で看護師さんに対応していただいたので、なおさら安心。大切に意識して扱いたいと思いました。

――たつのさんにもそんな経験があったとは! なんだかそれを伺って安心しました。

改めて、膣のセルフケアのすすめ

まだまだ日本では、「自分で膣に指を入れるなんてとんでもない。ましてやオイルを入れてマッサージなどしたら、膣内の常在菌のバランスが崩れて、体がおかしくなるからやめなさい」とまじめに言われることがあります。確かに必要以上にやることではないと思います。私も膣口周辺だけ潤わせているだけでも、充分だと思う時もあります。日常が忙しいので。

でも、忙しい方ほど、たまにはゆっくりと自分の膣と向き合ってみてください。忙しくしていた時ほど、ストレスが強かった時期ほど、膣は冷えています。硬くなっています。乾いています。温まった自分の手の平を会陰に当てて、ゆっくり呼吸してみてください。温めたオイルコットンを会陰に当てるのもいいでしょう。「そうするとね。昔のトラウマも和らぐのよ」って、以前レイプされて体調がおかしくなり、今はそれを克服したという体験を持つ方が教えてくださいました。自分の経験を活かしてお仕事をされている方です。

自分を本当に癒せ、成長させられるのは、やっぱり自分自身だとおもいます。来院されるクライアントさんがどんな結果を出されるのか分かりませんが、その過程に助産師として、お供させていただいています。

――膣ケアに現代日本人女性の状況が映し出されているように思えました。たつのさん、とても深くて楽しいお話ありがとうございました! 私もちょっとずつ膣ケアをスタートしたいと思います。

文/北 奈央子、撮影/鈴木 志江菜

たつの ゆりこ
助産師/看護師/鍼灸師

鹿児島県生まれ。
大学病院から助産院、自宅出産と幅広く勤務経験を持つ。鍼灸師としてアロマテラピーと鍼灸を統合した治療室を開設。女性と子供のための治療室「Be born治療室」を開設。全国的にベビーマッサージの普及活動を行い母子支援に従事する。世田谷に「Be born助産院・産後養生院」を開設、院長就任。更年期女性の健康相談室を開設し、現在に至る。



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