
一人ひとりに寄り添ったホリスティック医療を行うために、『まいこ ホリスティック スキン クリニック』を開院した山﨑まいこさん。なぜ、“ホリスティック医療”を行いたいと思ったのか、ホリスティック医療とはいったい何なのか? などについてお話を伺いました。インタビュー前半です。
総合的に様々な視点から治療を行う“ホリスティック医療”
――ご著書『美しい肌がうまれるところ』(ワニブックス)拝読いたしました。肌の状態に腸と心が深く関わっているということに驚いたのですが、とても納得いたしました。
ありがとうございます。
――本の中では“ホリスティック医療”についてお話されていますが、日本ではまだあまり知られていない医療法だと思います。改めて“ホリスティック医療”とは何なのか教えていただけますでしょうか?

そうですね。最近は少しずつ日本でもホリスティック医療を取り入れるクリニックが増えてきていますが、欧米に比べたらまだまだです。ホリスティックとはギリシャ語の「全体性(holos)」が語源になっていて、現在では「包括的な」「全体」「つながり」「バランス」という意味で使われています。私が思うホリスティック医療とは総合的にトータルに東洋医学なども含めた様々な視点から治療を行うことです。
――本のなかで特に印象的だったのが“からだとこころと魂の調和”がとれていると、健康で外面だけでなく内面から美しさが引き出されるという箇所でした。お医者様が“こころ”はまだしも“魂”が健康にとって大切だというのはとても珍しいなあと。
それは私がこの本を書いたきっかけでもあるのですが、“魂”が健康に関係ある…などという考え方って正しい治療をしていたとしても、ちょっと怪しく感じられてしまったり、民間療法などと一緒にされてしまったりするんです。ですが、本当はそうではなくてきちんと科学に基づいた話なんですね。ですが、あまり知られていません。私のクリニックにいらっしゃる方にはそういった話を時間をかけて説明させていただくのですが、私ひとりで多くの方にそれを伝えていくには限界があるので本を出すことにしました。
――たしかにそうですね。この本を読んだ時に感じたのは心が体の状態に影響を及ぼすということが論理的かつ科学的に書かれているのに、とても読みやすくて分かりやすいということでした。難しくないのにきちんと納得できる。
ありがとうございます! 難しいとなかなか読み進められないですよね。先入観なく手に取ってもらえるように表紙の装丁もシンプルに美しくと心がけました。
心の状態が肌にも影響を及ぼす
――ホリスティック医療に関心を持つようになったきっかはなんでしょうか?
皮膚科の勤務医として日々、診察をしているなかで肌の状態が悪い方々は気分が落ち込みやすくなることがあることに気が付いたんです。そして、肌の状態がよくなるとメンタルもプラスの方向へ向き、明るくなり雰囲気まで変わってくる。それで、「これはそもそも肌に症状が現れる前に心に何かストレスなどがあるんじゃないか?」と思い始めて、患者さんに肌の症状以外のお話も聞くようになったんです。
――どんなことを聞かれたのでしょうか?
「最近、環境の変化がありましたか」とかですね。環境の変化は特にストレスを感じるものですから。あとは、「悩んでいることはないですか」などです。私は人の変化に敏感で気が付きやすいんです。例えば患者さんが前回来た時とちょっと雰囲気が変わってる…と思ったら、必ず何かあったのか聞くようにしています。私を信頼してくださって、心を開いてくださると、悩んでいることを話しているうちに会話が弾むんですね。そうするとそれだけで症状がちょっと良くなっているような気もしてきて。
「一人一人にしっかり向き合ってお話を聞くところから始めないと根本的に症状をよくしてあげることはできないんだなあ」と痛感しました。ですが勤務医だと一人の方に長い時間を費やす診療は難しいので自分のクリニックを開院しました。
――特に女性は人に共感してもらったり話を聞いてもらうことで心が楽になることが多いので、状態が悪くて病院に行ってお医者さんから自分の悩みについて話を聞いてもらえたらそれだけで良くなってしまいそうです!
ありがとうございます(笑)そうやって心のケアもしながら治療をしていこうと思った時に、自然治癒力の大切さを実感し、その過程で必要になった栄養学を学びなおし、腸の大切さにも気がつかされました。
幸せホルモンのほとんどが腸で作られる
――数年前に腸内細菌ブームがあって、腸の大切さが広く知られるようになりましたね。

そうですね。腸は本当に大切な役割をたくさん担ってくれています。皮膚は外的器官なのですが、腸も常に外部にさらされている外的器官なんです。体に入ってきたものを悪いものか良いものか判断し悪いものはブロックしてくれます。そして、消化器官であり免疫臓器であり神経伝達物質を作り出してくれる。幸せホルモンと呼ばれる“ドーパミン”や“セロトニン”はほとんど腸で作り出されるんです。
――これを聞いただけで腸の状態が人にどれだけ影響を与えるかよく分かりますね。腸は本当に大切なんですね。
はい。なので、皮膚科医として肌の状態を良くしようと思ったら、ただ肌だけを見ていればいわけではなく、心の状態や腸の状態を診ることもとても重要だと思い、総合的な観点から治療にあたるホリスティック医療で患者さんと向き合っていきたいと思ったんです。
――素敵ですね。
ありがとうございます。心や腸の状態など、肌以外のことも聞いていくので初診だと30分…時には45分くらい時間がかかってしまいます。でもそのコミュニケーションをするかしないかがとても大切なんです。信頼関係を築くことで治療がスムーズに進むということはもちろんですが、なにより、時間とお金をかけてわざわざ私を頼って来てくださったのにガッカリさせるようなことは絶対にしたくないんです。求めているものに誠実に答えたいと思っています。解決策を見つけて改善し、患者さんの笑顔を見たい…そう思って日々診療をしています。
――一言一言を丁寧に言葉を選びながら、質問に答えてくださるまいこ先生の姿を見て、こうやって誠実に真摯に患者さんと向き合っていらっしゃるのだな、ということが伝わってきました。後半は、量子力学と美肌の関係、アラフォー女性が高級化粧品を使うことなく美しい肌を保つためにはどうしたらいいか、などについてです。お楽しみに。後半へ続く
文/和氣 恵子、撮影/鈴木 志江菜

山﨑まいこさん
まいこ ホリスティック スキン クリニック 院長
滋賀医科大学卒業後、大阪市立総合医療センターで臨床研修を行い、大阪市立大学附属病院形成外科、大阪市内の皮フ科常勤医師、大阪市内美容皮膚科院長を経て、Maiko Holistic Skin Clinicを開院
米国Nutrition Therapy Institute日本校卒業
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