女性の尿漏れを解決する骨盤底筋トレーニングとは?骨盤底筋トレーナー 岡橋優子さんインタビュー<第一回>【#FocusOn】 | 大人のワタシを楽しむメディア
女性の尿漏れを解決する骨盤底筋トレーニングとは?骨盤底筋トレーナー 岡橋優子さんインタビュー<第一回>【#FocusOn】

女性の尿漏れを解決する骨盤底筋トレーニングとは?骨盤底筋トレーナー 岡橋優子さんインタビュー<第一回>【#FocusOn】

骨盤底筋トレーニングとはどこをどう鍛えることでしょう。聞いたことはあるけれど、その内容やなぜ鍛えなければいけないのか、などについてきちんと理解している人はいないかもしれません。そこで骨盤底筋トレーナーである岡橋優子さんにお話を伺いました。


骨盤底筋が女性にとってとても大切な筋肉だということは意外と知られていません。骨盤底筋を鍛えるトレーニングをしている方も少ないのではないでしょうか。そこでご自身の産後の経験から骨盤底筋の大切さに目覚め、骨盤底筋トレーナーとして普及活動をしている岡橋優子さんに骨盤底筋トレーニングについてお話いただきました。インタビュー第一回です。

産後止まらなかった尿漏れ

――岡橋さんが骨盤底筋のトレーニングをはじめたきっかけを教えてください。

大学卒業後に英語を学ぶために留学していたオーストラリアでフィットネスインストラクターのオーディションを受ける機会に恵まれました。その後帰国してフィットネスインストラクターとして働いてきました。そんな中、妊娠・出産の機会に恵まれ、子どもを出産しました。産後も仕事をやめることは考えていませんでした。

それどころか産後すぐインストラクター業に復活するつもりでいたんです。フィットネスインストラクターですから、自分の身体に自信がありました(笑)トレーニングを産後2ヶ月目から再開し、4ヶ月目からインストラクターの仕事を再開しました。けれど、自分の身体が回復していないことに気がついたんです。産む直前までエアロビをしていたし、産後もトレーニングをしたし、私の身体は元通りになった、そう思っていました。でも違いました。身体は産前とは変わってしまったんです。30歳前でした

――確かに私も産んだらすぐ妊娠前みたいに動けるようにすぐなると思っていました。どんなところで変わったと感じましたか?

とにかくトイレが近いんです。骨盤底筋以外を鍛えるトレーニングはしていましたが、トイレが近くなってしまって尿漏れもありました。「生理がはじまったのかな?」とレッスン中にトイレにいったら尿だった、ということもありました。でもその時はなぜこうなってしまうのか、どうしたらいいのかわかりませんでした。

その後、アメリカへインストラクターの勉強に行った際、スタジオで骨盤底筋体操をやっていて、それに参加してはじめて骨盤底筋の存在を知りました。インストラクターをやっていたのにも関わらず、そんなところに筋肉があるということを知らなかったんです。日本で身体やトレーニングについて勉強してきた内容には、骨盤底筋の男女差や女性にとっての重要性について示したものはなかったんです。その頃の教科書や本を見ても書いてないんですよ。医師向けの本を開いても本当にちょっとしか書いてなくて、そのくらい当時日本では研究されていないし注目されていない筋肉だったんです。

――尿漏れ・・・私も妊娠中に経験しました。産後はそうでもありませんでしたが、帝王切開かどうかも関係ありますか?

そうですね。個人差はもちろんありますが、妊娠中に筋肉を緩めるホルモンがでますので、帝王切開の方でも尿漏れする方はいらっしゃいますよ。

――そうなんですか。しかし当時日本ではほとんど知られていなかった骨盤底筋もアメリカでは研究やトレーニングが進んでいたんですね。

そうですね。アメリカでは20数年前にすでに注目されていました。その理由は、性に対する意識の違いだと思います。海外では、パートナーとの良好な関係のために自分の性機能を維持することは、女性のたしなみなんですよね。日本ではそういった意識はあまりないのではないでしょうか。

――ここで性への意識の差が出てくるとは…。しかし海外との差、妙に納得です。

そうでしょう。そして日本に帰国してから骨盤底筋トレーニングに取り組んでいる方がいないのか探したんです。そうしたら日本でがんばっている先生がいらっしゃることを知り、その先生に会いに行きました。

――先人がいらっしゃったんですか! どんな方なんですか?

マタニティビクスの生みの親である田中康弘先生です。産婦人科医で、早くから妊娠中・産前産後の運動の大切さに気づきプログラムを開発しエビデンスも出されています。

マタニティビクスに加えてアフタービクスがあるんですが、この中に骨盤底筋を鍛える動きが取り入れられています。田中先生の存在を知り会いに行って勉強をはじめたのが私の骨盤底筋トレーナーとしてのはじまりでしたね。

骨盤底筋とはどういった役目をもったもの?

――そもそも骨盤底筋とはどんな役目をもった筋肉なのか教えていただけますか?

骨盤底筋は、骨盤の底にある筋肉のことです。骨盤を家として捉えると床の役割を担う部分です。骨盤底筋という床を通って尿や便、赤ちゃん、経血などが通過していきます。そのために尿道口や肛門、膣などの穴が開いていますよね。

――なるほど。ちなみに骨盤底筋は男性にもあるんでしょうか?

男性にもあります。男性は尿道口と肛門で穴が2つですね。女性は3つ。骨盤底筋は男女差が他の筋肉より大きいんです。女性の方がやわらかくて、伸張性があります。赤ちゃんも通りますからね。伸張性がないと通れません。そして女性の方が骨盤底筋の面が広くなっているので、よりトレーニングが必要なんですよね。

骨盤底筋の役割は、排泄機能、生殖機能、内臓維持機能、体幹安定機能の4つです。

――体幹にも関係しているんですか?

そうなんですよ。体幹の筋肉は4つの筋肉からなっています。お腹の筋肉、背中の筋肉、横隔膜、骨盤底筋です。この4つで袋状になっていて、これを“体幹”とよんでいます。この一面を担っているのが骨盤庭筋です。トレーニングといえば腹筋、背筋、呼吸筋(横隔膜)を想像する方が多いと思います。骨盤底筋をトレーニングしようという意識の人はなかなかいません。ですが、お腹の筋肉がゆるんだらお腹がでてくるように、骨盤底筋もゆるむと下がってきてしまいます

――そうすると産後の回復には、尿漏れだけでなく体幹の安定のためにも骨盤底筋トレーニングが必要ということですか?

その通りです! 産後だけではなく、骨盤底筋を鍛えると運動のパフォーマンスが上がります。体幹安定機能が上がりますので、動きが安定して筋肉のパワーが向上するんです。

――最近は骨盤底筋ダイエットなどがブームになっていますが、これはそういう意味だったんですね。

そうなんです。骨盤底筋は運動効果を上げるなど、とても大切な筋肉ですが、残念ながら女性は女性ホルモンの影響で妊娠・出産、そして更年期以降に特に機能が落ちます。放っておいたらどんどん弱っていってしまいます。それによる健康弊害がとても怖いんです。

インタビュー第一回ではご自身の骨盤底筋との出会いと、骨盤底筋とはどんな役割を持った筋肉なのか、などについて教えていただきました。第二回は骨盤底筋が弱まる理由と、弱まったらどうなるか、骨盤底筋に関する海外の取り組みなどについて教えていただきました。第二回に続きます。※7月31日(水)12時公開

文/北 奈央子、撮影/鈴木 志江菜

岡橋優子さんプロフィール

女性医療と提携した運動療法を開発、展開する運動科学・美骨盤トレーナー。主な分野は「予防のための骨盤底筋エクササイズ」「乳がん術後のグループ指導」。パナソニック社JOBAの骨盤底筋エクササイズや、東京大学医学部との産後の骨盤底筋体操共同研究などの運動療法の検証や、スポーツクラブ、病院、大学、各種セミナーなどで運動指導を実施。また、NPOを立ち上げ、乳がん術後のリハビリとして、湘南記念病院乳腺外来専門医、土井卓子医師と「乳がん術後の楽動教室」を実施。女性の健康を支えるための社会貢献にも力を注ぐ。神戸市立外語大学英米語科卒業

有限会社アスカ 代表取締役
NPO法人 スマイルボディネットワーク代表
早稲田大学 スポーツ科学部非常勤講師
パナソニック株式会社アプライアンス社 技術アドバイザー
青梅看護専門学校、広尾看護専門学校、荏原看護専門学校、府中看護専門学校、板橋看護専門学校 非常勤講師
社)日本フィットネス協会 理事
NPO法人 日本Gボール協会 理事
日本コアコンディショニング協会 スーパーバイザー

<資格>
健康運動指導士
日本女性骨盤底筋医学会会員
米国スポーツ医学会 エクササイズフィジオロジスト
マタニティヨーガ協会認定
英国ピラティス・インスティチュート認定

<著書>
監修『見るみるわかる骨盤ナビ』(ラウンドフラット)
『骨盤スイッチ』(NPO法人スマイルボディネットワーク)
『体が硬くてもできる! 安産のための骨盤ストレッチ』(ナツメ社)

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