人生を豊かにする半径2メートルと壮大な“無駄”【大網理紗 エッセイ “自分軸”で生きるということ#10】 | 大人のワタシを楽しむメディア
人生を豊かにする半径2メートルと壮大な“無駄”【大網理紗 エッセイ “自分軸”で生きるということ#10】

人生を豊かにする半径2メートルと壮大な“無駄”【大網理紗 エッセイ “自分軸”で生きるということ#10】

子どもや夫、仕事や家事…あなたの毎日は調整で追われていませんか? 徹底的に無駄を省き何とか時間を捻出する…ですが、ちょっと待ってください。その“無駄”にこそ人生を豊かにしてくれるヒントが隠されているかもしれません。自分の人生を楽しく豊かにするには自分の半径2メートルに何を置くか。もしかしたらそれには、大いなる“無駄”が必要なのかもしれません。アトランタ在住の国際基準マナー講師の大網理紗さんに日々感じたことを綴ってもらう人気エッセイ。今回は人生を豊かにする半径2メートルと壮大な“無駄”のお話です。


“宇宙飛行士”が身近な存在にあるアメリカの子どもたち

アメリカで暮らすママたちには共通の悩みがあります。それは長―い長―い3カ月間の子どもの夏休み。アメリカでは5月中旬頃に小中高校や幼稚園が夏休みに入り8月まで続きます。子どもたちは夏休みでも、ママの仕事も会社も家事も、3カ月の長期休暇にはなってくれません。

「お盆休み」という概念がないアメリカなので、お盆期間も平常どおり。子どもの長い夏休みの過ごし方を考える必要があるママたちの選択肢として多いのが、子どもをサマーキャンプへ参加させること。 サマーキャンプといっても、宿泊するのではなく日帰りです。

大学や美術館、動物園や劇場などで、夏休みになると一斉にサマーキャンプが開催されます。子どもたちはスポーツやアート、音楽、演劇などに取り組みながら、日中の時間帯を過ごします。1週間で1万円程度のものから4万円以上するものまであります。サマーキャンプの中でも、宇宙センターで開催される“宇宙飛行士のトレーニングが体験できる”という人気プログラムには、全米から子どもたちが殺到します。

テキサス州ヒューストンにあるSPACE CENTER。「宇宙飛行士訓練施設」を見学することができます

アメリカの子どもたちにとって“宇宙飛行士”という職業は、日本の子どもたちが感じているよりもっと、身近なのではないかと思います。アメリカにはNASAがあり、月の石やロケットなどが見学できる宇宙施設がたくさんあります。息子のプリスクール(幼稚園)でも、“宇宙飛行士”に関するレッスンを行なうことが度々ありました。だからか4歳の私の息子もやはり「宇宙に行きたい!」「宇宙飛行士になりたい!」と言っています。

正直私にとっては、宇宙も宇宙飛行士も、身近なものとは言えません。それはやはり今まで触れる機会があまりなかったからなのだと思います。私たちはたくさんの物を見て、たくさんの中から選んでいるようで、実はすべての選択を、自分の目が届くごく身近なものの中から選んでいるのかもしれないなぁと思いました。

自分の半径2メートル以内に何を置くか?

私たちは大人になったからといって、自然と視野がぐーんと広がるか? と言うと、それには残念ながら、限界があるように感じます。となると、自分の目が届く、自分の手を伸ばして届く

「半径2メートル以内に何を置くか?」

それが人生の選択に非常に重要だなと改めて感じました。もちろんすぐそばに置いたからといって、それがすぐ夢に直結するわけでもなく、まして大人になった私たちの日常生活の何かに役立つわけではありません。

ですが「どうせ役に立たないだろう」「やっても無駄かも…」と思ってなにもしなければ、手元に何も集められなくなってしまうと思いませんか?

…とはいえ、私たちはいつも何かしらの「調整」に全力で奔走しています。先週私も子どもをサマーキャンプへ送り出しましたが、子どものために仕事を調整したり、仕事を調整するために子どもとの過ごし方を考えたりしました。そしてそんなことは日常茶飯事です。

友人のアメリカ人ママは「いつも行っているプリスクールなのに、サマーキャンプは3歳からしか参加できないのはなぜ? 下の子を預けられないから、家で全員まとめてシッターに頼むわ」と言い、ブルガリア人ママは「4週間はサマーキャンプ。あとは夫と順番に休みを取ろうかしら」、英語の家庭教師をしている韓国人ママは「仕事があるから8週間サマーキャンプよ。でも8週間も行くと金額もそれなりでしょう? リーズナブルなところを一生懸命探したの」と言います。

たとえママではなくても、私たち女性の人生に「調整」はつきもの。上司と部下、クライアントとこちら側、ママ友や夫との関係…あちらのことも、こちらのことも考えないといけない。両方のことを大切にしながら必死で頑張っているのに、どちらも好き勝手言ってきて振り回されたり、悩まされたり…。そんな毎日を過ごす私たちの「半径2メートル以内に置いてあるもの」といったら、調整、調整、調整…の末にようやく現れた時間たちです。

サウスカロライナ州チャールストン。アメリカ人に人気の高い美しい港町です

週末、サウスカロライナ州のチャールストンで過ごしました。日本人にはあまり知られていないチャールストンですが、アメリカ人の中では全米一の人気観光地。コレといったものがあるわけではないのですが、歩いているだけで「可愛い!」と、心ときめく街です。日本の「可愛い」は時に子どもっぽいと揶揄されます。日本人の女性はすぐに何に対しても「可愛い!」と言う。アメリカでは大人の女性に対しての褒め言葉に、“可愛い”は使わず、“エレガント”か“セクシー”、または“シック”といいます。

“可愛い”は赤ちゃんや小さな子どもに向けてのみ発せられる言葉で、幼稚園児に対しても、女の子にはCuteではなくBeautiful、男の子にはHandsome(ハンサム)を使う人もいるくらいです。そこで、ふと思ったのです。もしかしたら私たち日本人女性は、「可愛い!」と心ときめくものを見つけるのが得意なのかもしれない、と。

「ちょっといいな」という、ときめくかけらのようなものを発見するのが上手かもしれないのに、忙しさにかまけて忘れてしまっているのかもしれないと思ったのです。もちろん大人の女性は、可愛い以外のボキャブラリーも持ちたいものです。ですが、大人になってもいくつになっても「可愛い!」と心ときめく気持ち、恋するような気持ちを持ち続けられることもまた、素敵なことではないでしょうか。

大人こそ無駄が必要! 人生を豊かに楽しく過ごすために無駄を愛せる自分でいたい

夏休みといえば、読書感想文や自由研究など、「これって何の役にたつの?」と一見感じてしまうような「夏休みの宿題」がありました。 読書の習慣をつけたいのは世界共通なのか、アトランタでは州をあげて「Reading program」の取り組みを行なっています。子どもたちは夏休み期間に本を読むと、野球やバスケの試合のチケットがもらえたり、ドーナツやアイスクリームをもらえます。この「Reading program」には大人向けも用意されていて、アマゾンギフトカードやスターバックスのドリンクチケットがもらえたりします。

私たち大人もそんなプログラムがあると、「ちょっと本を読んでみようかな?」と、思いますよね。大人になると「夏休みの宿題」はありません。やってもチェックしてくれる人はいないし、自分で宿題を設定したとしても提出先もないので、たとえできなくても「まあ、いっか」と言い訳して終わりになります。

ですが夏休みだからこそ、「そんな無駄な宿題」に、あえてちょっと取り組んでみる時間を作ってみるのはいかがでしょうか? 「Work hard, play hard」。これは全力で働いて全力で遊ぶ、アメリカ人が好むスタイルです。

めいっぱい仕事をして、遊んで、旅して、恋して、吸収して、自分の人生に色を付けるのは、いつも自分自身。たとえそれが無駄でも遠回りに思えても、「ちょっといいな」「可愛い!」と心から思えるものを探して、集めて、自分の手でカラフルに色をつけてみる。

この夏、洋服でもデスクの上でも家の中でもいいから、まずは自分の手が届く2メートル以内から、自分の世界を自分史上、最高にカラフルにできたら素敵だと思いませんか?

大人になってからの人生は、無駄なものが多いほうがきっと楽しいはず! もちろん調整は大切です。けれど無駄も大切にしたい。無駄の多い人生を愛せる寛容さを忘れない私でいたいという願いを込めて、「自分史上、最高にカラフルにする!」という夏休みの宿題に私も取り組んでみようと思います。

リサ・コミュニケーションズ代表 大網理紗

大網 理紗

リサ・コミュニケーションズ代表
世界の王室・皇室・政府要人といったVIP接遇業務に従事した後、全国アナウンスコンクール優秀賞、国際優秀賞受賞などの経歴を活かし、話し方&国際基準マナーのスクールRiSA Communicationsを設立。
独自のメソッドを開発しコミュニケーションスペシャリストの育成を行なう。大学、教育委員会、企業等で数多く講演。また、宮内庁・王室主催の舞踏会などで社交界の経験を積む。

著書
『人生を変えるエレガントな話し方(講談社刊)』
『大人らしさって何だろう。(文響社刊)』



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この記事のライター

話し方&国際基準マナーのスクールRiSA Communicationsを設立。国際基準マナー講師。

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